冥王星に500メートルの氷製高層ビル「ペニテンテス」が乱立! NASA科学者も困惑、宇宙人ホテルか?

冥王星に500メートルの氷製高層ビル「ペニテンテス」が乱立! NASA科学者も困惑、宇宙人ホテルか?の画像1画像は「NASA」より引用

 NASAが打ち上げた冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」は、約10年の歳月を経て太陽系を横切り、2015年に冥王星を接近通過(フライバイ)した。世界中の天文学者が熱狂の渦に包まれた歴史的偉業であったが、その時に撮影された1枚の画像がこれまで科学者の頭を悩ませてきた。それというのも、当時の科学知識では理解不可能な全長500メートルあまりの「氷の搭」が写り込んでいたからだ。


■科学者が困惑する冥王星の「ペニテンテス」

 地球上にも「ペニテンテス」と呼ばれる氷の搭がアンデス山脈など高緯度地域でみられるが、その大きさは数cmから5メートルほどに過ぎない。500メートルもの巨大な氷の搭が存在するのは太陽系の中で冥王星だけであり、さすがのNASAも「青色と灰色の突起物と、その間に挟まれた赤褐色の物質による複雑で、不可解なパターン」と、公式ウェブサイト上で困惑を表明するほどだった。

 しかしこの度、その謎がついに明らかになった。1月10日付の「Science Alert」によると、カナダ・ヨーク大学のジョン・ムーア教授率いる研究チームが、コンピュータ・モデルを使って、氷の搭を再現することに成功したというのだ。

「冥王星にみられるペニテンテスの形成には大気の存在が不可欠だということが分かりました。そのため、空気の無い衛星や矮小惑星では同様の現象は起こらないのです」(ムーア教授)

「ナショナル・ジオグラフィック」オンライン版(2016年7月14日付)によると、これまで冥王星では地質活動が停滞していると思われていたが、科学者の予想以上に大気や地質がダイナミックに活動していることが分かり、一部では水が凍ってできた巨大な氷山も存在することが明らかになったという。

 確かに冥王星の表面温度はマイナス220度である上、大気も地球に比べかなり薄い。しかし、ペニテンテスの形成過程は地球上とさほど変わらないそうだ。

 通常、ペニテンテスは氷が水を経ずに水蒸気に変化する「昇華」によって形成されるが、冥王星のペニテンテスも同じく、メタンとニトロが昇華することで形成される。条件が整えば、太陽系のどの惑星でペニテンテスが形成されてもおかしくないそうだ。

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