足が独自に進化した「ハオラニ族」が激カッコイイ! 現代版ターザンの驚愕遺伝子と、近代化の波
中南米エクアドル東部のアマゾン・ジャングルに住む原住民ハオラニ族――。ワオラニ族、ワオダニ族、ワオ族とも呼ばれているアメリカ先住民の部族である。
■木登りに適した“超扁平足”に進化
ハオラニ族が居住するアマゾン川の支流であるナポ川からほど近い一帯には、もちろん便利なファストフード店やスーパーなどは皆無だ。
お腹が空いた時には外へ行き、猿などの動物を自力で仕留めてくるという採取狩猟民族である。ハオラニ族は木登りを得意としており、狩猟する際は木によじ登って獲物を待ち伏せする。
そして毒を塗った、自身の身長よりはるかに長い吹き筒を使用する吹き矢で獲物を殺す。毒が体内に回ると筋肉が麻痺して、動物は息ができなくなって死んでしまうのだ。
食す際はそのまま火で炙ったり蒸し焼きにするなど実にシンプル。狩りでは吹き矢のほかにも槍を用いることもあり、主食は猿の肉だがペッカリー(ヘソイノシシ)や鳥のオオハシ、そして森の中で部族の女性が採取するハーブなどの植物も好んで食べるという。
エクアドルで広く話されているケチュア語とは異なる固有の言語を持ち、ほぼ裸で過ごしているという現代版リアルターザンのような彼らだが、最大の特徴は彼らの足だ。
極端に平べったく、親指が大きく離れて広がったつま先は専門家いわく、木登りに多くの時間を費やしてきた結果、足の形が発達していったのだという。4千人に満たない規模で長期間にわたり周囲と隔絶して生活していた彼らは、独自の遺伝子プールを持つことでいつしか木登りに適した超扁平足となり、なんと6つの指を持つ人も少なくないというから驚く。
■急速に失われつつある独自の伝統文化
今回、ハオラニ族の写真を撮影したのはイギリスの著名自然写真家ピート・オックスフォード氏。「自分と異なる人々と時間を過ごせること」が最も喜びを感じることのひとつである、という氏は同時に、取材時には「異質なのは彼らではなく自分自身」であることを強く意識するように心掛けているという。
「森の住人であるハオラニ族はまさに森の環境に適応して生きているといえるでしょう」とはるか昔から続くその変わらない生活スタイルに驚嘆しながらも、今後は急激に大きく変化していくであろう状況を憂いをこめて語っている。
今日では付近の石油をはじめとする天然資源開発が進み、彼らの住む森が縮小を余儀なくされている。約50年ほど前までは外界との接触を持たなかったが、現在では吹き矢の代わりにショットガンを使用したり、衣服を身につけ、ツアー客向けに暮らしぶりを見せたりもしている。石油会社に雇われて働き、現金収入に依存する人も出てきているとのことだ。
「世界中のどの先住民の部族にも共通することなのですが、彼ら独自の文化や知識といったものは恐ろしいほど早い勢いで失われつつあります。我々人間は均一化、均等化してきているのです……」と語るオックスフォード氏は、可能な限り多くの古代文化を記録し、後世の人々に伝えていきたいという。もしかしたら将来的には消えてしまうかもしれないハオラニ族の存在を、我々も今のうちに目に焼きつけておきたい。
(文=Maria Rosa.S)
参考:「Daily Mail」、ほか
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