太陽系は“球状シールド”で守られていたことがNASAの研究で判明! 系外からの「ガンマ線攻撃」も恐くない!
「太陽風」と呼ばれる高エネルギー粒子が日常的に地球へ到来していることはよく知られている。大規模な太陽風を受けると「磁気嵐」が発生し、人工衛星や地球上の電子機器に被害が出ることがある。トカナでも度々その危険を報じてきた。しかし一方で、同じ太陽風が強烈な宇宙線から地球を守ってくれていることをご存知だろうか?
■太陽系を守るシールド「ヘリオスフィア」
太陽風は地球だけでなく太陽系全体に吹き渡っており、太陽風の荷電粒子が存在する領域(直径は約370億kmほど)を「太陽圏」(ヘリオスフィア)という。この太陽圏が“シールド”のような役割を果たし、恒星間を飛び交う高エネルギー放射線から太陽系を守ってくれているのである。特に地球上の生物は太陽圏のおかげで生存していると言っても過言ではないのだ。
そしてこの度、太陽圏の形に関して従来の学説を覆す新事実が発覚した。宇宙情報メディア「Space.com」(4月25日付)によると、NASA(アメリカ航空宇宙局)による最新の研究で、太陽圏が“泡のように”太陽系を取り囲んでいることが判明したのだ。
これまでの研究では、太陽が恒星間を移動することで、太陽圏は彗星の尾のように引き伸ばされた形をしていると思われてきた。だが意外なことに太陽圏はどの方向にも偏りのない球状であることが分かったという。
NASAの研究者らは11年の歳月をかけ、NASAの人工衛星「IBEX」や土星探査機「カッシーニ」、太陽圏外へ唯一到達した「ボイジャー1号」と、これから太陽圏外へ向かって飛行中の「ボイジャー2号」が取得した大量のデータを地道に精査。
すると、「IBEX」のデータから、太陽圏の端に到達したイオンが中性気体原子と電荷を交換することで、太陽圏の内側に跳ね返ってくる(bounce back)ことが分かり、「カッシーニ」に搭載された「磁気圏画像化装置(MIMI)」データから、この跳ね返りを複数の方向から比較してみると、どれも太陽圏の端からおよそ3~4年ほどで戻ってくることが明らかになったそうだ。つまり、太陽圏の“鼻”と“尾”はほぼ同じ距離にあるということだ。米ジョンズ・ホプキンズ大学のトム・クリミギス教授によると、もし尾のように一方向に拡がっていれば、跳ね返ってくるまでに時間差が生じるはずだという。
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