なぜ川崎はここまで“エグい土地”になったのか? 貧困、差別、売春、殺人、ヤクザ、ドラッグ… BAD HOPら不良少年の証言を収集した『ルポ 川崎』著者インタビュー
■震災荒らし、小学生で脱法ドラッグ…… 本にはできなかった激ヤバ裏話
――本書に含めることができなかった激ヤバ話があれば、少しだけ教えてくれませんか?
磯部 う~ん、プライバシーの問題もあるので濁して言いますね。この本に出てこない、とある不良が、2011年の東日本大震災のとき震災荒らしをやっていたという話を聞きました。被災地に行って、物品を盗んで、そして売りさばく。
そういえば、川崎の若者に話を聞いていると多感な時期に経験したはずの震災の話は意外と出てこなくて、彼らにとってはそれよりもボコられたとか仲間が捕まったとか、という話の方が重要なんですね。ただ、回り回って、あの震災って彼らにも影響があったとは思うんです。ヤクザが不況産業となって、さらにリーマンショックが起こり、震災が起きた。本書にも出てくるエピソードですが、ヤクザの下にいる彼らの先輩もカツカツになって、子どもたちも上納金を取り立てられる、みたいにね。
――ヤバい話、まだまだありますよね?(笑)
磯部 例えば、脱法ドラッグの話はよく出てきました。作家の石丸元章さんが「2012年は脱法ドラッグのパンデミックだった」とおっしゃっていましたが、その時期は川崎駅前でも脱法ハーブが大っぴらに売られていた。
――それはヤバいですね。当時、子どもたちの間でも脱法ドラッグが出回っていたということですか?
磯部 川崎ではタバコを吸っている小学生もいますが、当時の脱法ハーブは年齢制限がないからさらに買いやすいですからね。暴れたとかはいい方で、自律神経がボロボロになってしまい戻ってこれなくなってしまった子もいる。今の20歳くらいの不良に話を聞いていると、脱法ドラッグは強烈な体験として残っているようですね。
――脱法ドラッグだけじゃなく、マリファナに手を出すような少年も?
磯部 脱法ドラッグの悲惨な体験から教訓を得て、「もうやらない、やるのはマリファナだけ」と言っている不良もいましたよ。ただ、少年薬物犯罪の専門家だった故・小森榮弁護士によると、近年、同犯罪の全体的な件数は下降傾向にあります。ただ、もちろんやっている子はいるし、孤立化することで問題がより根深くなっているという側面もある。貧困問題も同様だと、本書の中で「ふれあい館」の鈴木健さんも言っていますね。
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