“失踪を繰り返す父”と“行方不明だった伯母”を撮り続けた写真家・金川晋吾! ロングインタビュー
2018.02.21 18:00
――「他者」がテーマであれば、血縁者を被写体にする必要はないのでは?
金川 赤の他人より血縁者のほうが「他者のわからなさ」がよく表れると思うんです。自分以外の人との距離、遠さは、近い相手にこそ表れる。伯母さんに対しては昔の記憶がないぶん近い感覚もないんですけれど。
――写真からは、全くの他人とも思えないけれど、関係性を問われてもにわかには判別できないような印象を受けました。伯母さんとコミュニケーションは成立するんですか?
金川 話はできますけど記憶を遡ることはできません。それこそ「今ここだけ」の繋がりなんです。僕のことを「まことちゃん」って呼ぶんですよね。「金川晋吾」だと訂正すればそこでは理解してくれるんですけど、次に行った時にはまた「まことちゃん」に戻っています。私が彼女の甥だということもわかっているのかどうか、よくわかりません。でも、私という人間のことは認識していて、会いに行けば喜んでくれます。
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