900年前のカオスな岩絵(ペトログリフ)がカレンダーだったことが判明! 先住民シナワ族を今も導く「我々の誇り」=米
古くは数千年前から、人類が後世に伝えたいさまざまな意匠や文字を刻んだものであるペトログリフ(岩絵)――。筆記用具や紙のない古代人が残したものと思われがちだが、実は数百年前までに刻まれた比較的新しいものもあり、世界各地で見つかっているのだという。
■太陽光を受けて今の季節を示す岩絵
中でも米アリゾナ州に位置するヴェルデ渓谷のV-Bar-V・ヘリテージサイト(V-Bar-V Heritage Site)は、保存されているペトログリフの数が最も多い場所のひとつだ。
ネイティブアメリカンのシナワ族が、およそ900年前に刻み付けたといわれる、動物や植物をはじめとするペトログリフが1000点ほど現存している。
絵は一見、無秩序のように見え、重要性を見出すのが難しいようにも思えるが、これらの絵は、太陽がしかるべき位置に姿を現した時に本領を発揮するらしい。考古学者らによれば、岩絵の中にはカレンダーまたは時計として用いられていた可能性が高いものがあるという。
ヘリテージサイト内に数多く存在するペトログリフの1つに、上部の亀裂に2つの石が差し込まれたものがある。この2つの石に太陽の光が当たることで、ペトログリフに映し出されるその影のパターンを読み取れるという。
太陽の位置が季節により変化していき、ペトログリフに落ちる光と影の位置も変化する。これにより昼夜平分時(春分や秋分)、夏至など、季節を正確に把握することが可能となる。例えば夏至には太陽の影がトウモロコシなどの6つの絵を指し示す一方、半年後には太陽光が2つの石の間の隙間を通って、直接ペトログリフ全体を照らす、という具合である。
シナワ族は、農作業における重要な行事や宗教的な祝い事などをこのカレンダーによって執り行っていたと推測されているのである。
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