『RAW SOUL』李岳凌/赤々舎
李 作曲者が誰かとか、人種やジャンル、アーティストのイメージ、他者の評価といった、音楽そのもの以外の要素に依らなければ良し悪しを判断できないということです。自分自身の原初的で直観的な印象をから確信を持ってその価値を提示できないということは、音楽と純粋に対峙していないことと同じ。すなわち、自分自身と向き合えていないのと同じだということです。
――なるほど。姚氏の見識は音楽のみならず、写真をはじめとするあらゆることに通じますね。
李 そんな姿勢で音楽を聴く集中力を高め、たくさん聴いていくうちに、自分の嗜好の方向性、フィットするものが自ずとわかるようになりました。そして、聴き手の感覚やメンタリティを刺激し精神活動にまで作用する音こそ、繰り返し聴くに耐えうるよい作品なのだということを体で覚えました。そうするうちに、自分もサウンド作りを始めていたんです。