タコがMDMAをキメるとタコウ感で「ラブ&ピース」になることが判明! 人間とタコの脳は同じだった!?
研究者らの目的は、タコの生殖行動がセロトニンを使った神経システムで制御されているかどうかを調べることにあった。普段は孤独に生きるタコたちだが、繁殖期だけは例外だ。タコの性的な衝動を引き起こすのはセロトニンなのか? 研究者らが興味を持っていたのは、そのシステムの存在と進化についてだった。
MDMAは摂取した人間の脳内で過剰なセロトニンを分泌することで、多幸感や共感性を引き出しているとされる。研究者らは実験に先立ち、タコのゲノムに人間のセロトニントランスポーターと類似のタンパク質が存在するかを調べた。すると、タコにも人間のものとよく似た遺伝子が存在することが分かり、MDMAが同様に作用する可能性があることが示唆されたのだ。そして実際、MDMAにさらされた実験タコたちは、繁殖期のような社交的なふるまいを見せたのである。論文は今月20日付で専門誌「Current Biology」に掲載された。
人間とタコというまったく異なる脳や神経系をもった生物に、セロトニンを使って感情を制御するという類似したシステムが存在することに驚いた人も多いだろうが、トカナでも過去に報じた通り、タコはそもそも知的エイリアンのため(詳しくはこちらの記事)、熱心なトカナ読者ならば納得の結果といえるだろう。科学メディア「Science Alert」によれば、この研究はセロトニンが関与する神経伝達の仕組みの進化の解明に関わるだけでなく、人間の抗うつ薬の研究開発にも役立つ可能性があるそうだ。
なお、近年は動物実験の際に倫理的な配慮が求められており、一部からはMDMAをタコとはいえ生体実験に使うことに疑問の声も上がったという。だが研究者らによれば、今回の実験に使われたタコはもちろん法律とガイドラインに従って倫理的に扱われ、また、実験後もストレスの兆候を見せず、繁殖もしたとのこと。とりあえず、MDMAはタコにとって、それほど危険なドラッグではないようだ。
(編集部)
参考:「Science Alert」「Live Science」「Current Biology」「National Geographic」ほか
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