米軍が「昆虫の脳と意識」をもつAIロボット“昆虫兵士”の研究開始! 反乱の危険性も…(最新研究)

■“昆虫兵士”が人類にクーデターを起こす日

 自律的に行動するAIとはすなわち“意識”を持ったAIでありロボットである。

 昆虫の行動の大部分が現在直面している事態に対処する“条件反射”であると考えられているが、それでも、それぞれの個体がわずかながらであっても主観的な体験をしていると考えられている。したがって昆虫にも初歩的な“意識”があると見込まれているのだ。この昆虫の意識のメカニズムを解明できれば、きわめて小型高性能のAIが開発できるのである。

 ペンタゴンの提案書で言及されているのは下記の通りだ。

「大自然はこれらの小さな昆虫に基本的な機能を維持しながら、劇的な小型化とエネルギー効率を強いてきました。さらにこれらの有機体は増大された“主観的な経験”を示すことができ、潜在的なAIの問題解決への単純な“ルックアップテーブル”反応を拡大適用させます」

 つまり昆虫の脳が体験する「主観的な経験」を研究することで、“意識”を持ったAIとロボットを開発できるというのである。この“昆虫脳”を持ったロボットがもしも軍隊の“兵士”になれば、まるで敵に直面したハチのように攻撃するか逃げるのかを自分で判断して行動に及ぶことになる。こうした“昆虫兵士”の軍団を組織できれば、もはや人間の兵士が戦場の最前線に赴く必要はなくなるのかもしれない。

米軍が「昆虫の脳と意識」をもつAIロボット昆虫兵士の研究開始! 反乱の危険性も…(最新研究)の画像3Air Force Magazine」の記事より

 素晴らしい未来が約束されているように思えるが、軍事技術は往々にして“矛”と“盾”のせめぎ合いである。“昆虫兵士”同士の戦いになれば戦争はさらに泥沼化するのかもしれない。

 そしてオルタナティブ系メディア「Mysterious Universe」の記事の中でライターのブレット・ティングレイ氏は、これは映画『猿の惑星』を地で行くものになるのではないかと警告を発している。つまり意識を持ち、意思を持ったロボットがいつまでも人間の言うことを聞き続けるのかどうかということだ。どこかの時点で“昆虫兵士”が軍や人類社会に対してクーデターを起こさないとも限らないのである。

 ご存じのように、将棋や囲碁でAIが人間に勝利する日がこんなに早く訪れると多くの一般人は夢にも思っていなかっただろうが、想像を越える急激な技術進歩により呆気なく“その日”は到来した。そしてティングレイ氏はこのAIの例のように、実際に“その日”が訪れたときにはすでに“手遅れ”になっていることを指摘している。

 DARPAでは、すでに驚異的な身体能力を備えた2足歩行と4足歩行のロボットが開発されているだけに、それに加えて今回の“昆虫兵士”プロジェクトがどのような進展を見せるのか目が離せない。
(文=仲田しんじ)


参考:「Mysterious Universe」、「Air Force Magazine」ほか

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