物体浮遊、生きた霊体と面会、天理教… 文豪・芹沢光治良をオカルトにハマらせた“3つの出逢い”とは!?

――超能力、心霊現象、UFO、など、いわゆる「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が解説!

物体浮遊、生きた霊体と面会、天理教… 文豪・芹沢光治良をオカルトにハマらせた3つの出逢いとは!?の画像1イメージ画像:「gettyimages」より

 昨年11月に発売された佐藤愛子の『冥界からの電話』(新潮社)が話題を呼んでいるようだ。これは、小説家の佐藤が、知人の医師・高林圭吾(仮名)が体験した不思議な事件の顛末を綴った作品で、佐藤は実話だとしている。

 佐藤に限らず、作家や文人の中でもかなり著名な人士が、超常現象や心霊現象に関心を抱いていた例は枚挙に暇がない。三島由起夫や石原慎太郎が「日本空飛ぶ円盤研究会」の会員であり、自らUFOを目撃したことがあるのは有名な話だし、「荒城の月」の作詞者・土井晩翠や、フランス文学者の豊島与志雄も心霊現象に興味を持っていた。近年でも、吉本ばななや宮部みゆきなどは、自らの超常現象への関心を隠そうとせず、その作品の中にも様々な不思議現象が登場する。

 海外に目を転じると、かの文豪ヴィクトル・ユーゴーは心霊現象に傾倒し自宅でしばしば交霊会を開いていた。同じくフランスの作家ジョリ・ユイスマンスは魔術師ブーランに弟子入りし、ブーランとド・ガイタの名高い魔術戦争に巻き込まれている。

 そして芹沢光治良(せりざわ・こうじろう 1896~1993)もまた、心霊現象に並々ならぬ関心を寄せていた作家の1人だったようだ。


■日本を代表する文豪の“ブッ飛んだ”晩年とは!?

物体浮遊、生きた霊体と面会、天理教… 文豪・芹沢光治良をオカルトにハマらせた3つの出逢いとは!?の画像2芹沢光治良 画像は、「Wikipedia」より引用

 芹沢光治良といえば、『巴里に死す』や『人間の運命』など、自らの体験をモデルとしながら、良心に従って人生と真正面から向き合い、人間の生きる意味を真摯に問う作品をいくつも残した小説家だ。決して時流に乗る作家ではなく、耳目を惹くような文学賞にもあまり恵まれなかったし、同僚の作家たちがこぞって左傾化した時代に著した『橋の手前』(1933年)が批判されたこともあり、日本の文学界では正当に評価されているとは言いがたい。しかし海外、特にフランスでは極めて高く評価され、1957年(昭和32年)にはノーベル文学賞候補になったこともある。後年は、自身がこの栄誉ある賞の選考委員を務めることになり、芹沢を師と仰ぐ大江健三郎が受賞したのも、芹沢の推薦が大きかったようだ。

 その芹沢が89歳になってから、伊藤青年こと霊能者の大徳寺昭輝と交流するようになり、この世の造物主である神や庭の樹木、果ては自分の作品の登場人物と会話し、さらには、万病を治す「ルルドの聖水」を自らの祈りで作り出すなど、一見すると非現実的な内容を事実として記す、いわゆる「神シリーズ」を執筆しはじめたことは、一部でかなりの驚きをもって迎えられ、老人のたわ言ではないかと酷評する者もいた。しかし、この一連の著作によって、「生きる力や心のやすらぎを得た」という読者が大勢現れ、シリーズはベストセラーになった。寄せられた反響の中には、「この作品で救われた」という声まであったというが、それだけ不思議な力を持つ作品であるということだ。そして芹沢の人生を辿ってみると、実は心霊現象や宗教的奇跡と深く関わってきたことが明らかになる。

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