「体内からHIVが消えた」HIV感染の男性が史上2人目の寛解! 幹細胞移植で…HIVもエイズも“治る病”に!?
ブラウン氏と「ロンドンの患者」には大きな共通点がある。それは骨髄移植のドナーが免疫細胞の表面に存在するCCR5というタンパク質に変異を持っていることだ。この変異を持つ人々はHIVに抵抗性を持つことが知られており、昨年末から話題になっている中国の遺伝子編集ベビーにもHIV抵抗性を持たせるためにこの遺伝子変異が人為的に挿入された。
ブラウン氏のケースでは、骨髄移植後に合併症を起こして昏睡状態となって生死の境をさまよっている。この激しい症状がブラウン氏のHIV感染を寛解させたとも言われている。だが、「ロンドンの患者」はそのような症状は起こしておらず、移植後の経過は順調だということだ。
ブラウン氏のケースが報告されて以来、世界中で同様の骨髄移植のケースが追跡されているが、残念ながらHIVが寛解した患者は見つかっていなかった。一時的に抗HIV薬の服薬を中止できた患者も存在したというが、しばらく経つとHIVが再び検出されるようになったり、病で死亡したりとHIVが寛解した患者は久しく現れなかった。「ロンドンの患者」はブラウン氏の症例から12年越しの2人目ということになる。
言うまでもないが、骨髄移植は危険で副作用や後遺症も起こりうる難しい治療法だ。HIVの治療として骨髄移植が標準となることはありえない上、全てのHIV患者にこの方法が有効でないのは明白である。だが、専門家らはCCR5に変異を持つ造血幹細胞を用いた治療の可能性が開かれたと経過に注目している。
近いうちにまた一つ、世界から“不治の病”がなくなる日が来るのだろうか。
参考:「New York Times」「Big Think」「Science Alert」ほか
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