「1964年の東京五輪は失敗だった」選手が告白! 開催の意味がなかった可能性…『アフター1964』著者インタビュー

『アフター1964 東京オリンピック』(サイゾー)

 1月7日に発売された作家のカルロス矢吹氏の著書『アフター1964 東京オリンピック』(サイゾー)が話題を呼んでいる。

 この本では、1964年の東京五輪に出場した元オリンピアンに直接取材を敢行。膨大な資料と取材に基づいて、知られざる東京オリンピックの裏面史に迫っている。著者であるカルロス矢吹氏に話を聞いてみた。

 

――取材を終えて、特に印象に残っていることはありますか?

カルロス:僕は1964年の大会を直接見てはいないので、どうしても資料頼みの推測になっちゃうんです。そんな中で、飛び込みの馬淵かの子さんが「私は東京五輪は失敗だったと思っていますよ」ってバシッと言ってくれたんです。それは僕としてはすごく助かりました。それを僕が書くわけにはいかなかったというか、「お前、何も知らないじゃないか」って言われたらその通りなんで。自分ではあの大会が失敗だったんじゃないかっていうことを書くのを少しためらってた部分があったんですけど、馬淵さんという実際に出場した選手の方がしっかり言ってくれたのが良かったです。

 

――たしかに、この本では「東京五輪をどう評価するのか」ということに関して、著者であるカルロスさん自身の意見はほとんど書かれていないですよね。あえて書かないようにしていたんでしょうか?

カルロス:そうですね。実際には見ていないわけですから。その辺は選手の方々の発言に乗っかって、分かっていただければな、と思って。ただ、本当に手放しで褒めている方はいなかったですね。

カルロス矢吹

――取材前に下調べをされていると思うんですが、その調べてきたことと実際の話が食い違うことは多かったですか?

カルロス:ほぼ全員そうでしたね。下調べをして、こういうことだったんじゃないか、って自分なりに仮説を立ててお話をうかがっていくんですけど、その通りだったことはほぼなかったですね。調べれば調べるほど、資料に書かれていないことや分からないことがいっぱい出てきて。むしろ、分からないところが多い人たちの方が面白そうだな、と思ったんですよね。表に出ているエピソードをまとめるだけでも面白いかもしれないけど、明らかにつなぎ目の部分で書いてないことや表に出てなさそうなところがいっぱいあって、「これは何なんだろうな?」って思って聞きに行ったら、とんでもないことがいろいろあったりして。

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