鬼畜系の弁明 ― 死体写真家・釣崎清隆寄稿「SM、スカトロ、ロリコン、奇形、死体…悪趣味表現を排除してはならぬ理由」

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 鬼畜系の源流は80年代サブカルチャーの悪趣味表現に遡ることができる。鬼畜系の10年前においてはエロ本がそのシーンを牽引した。中でも1981年創刊の『Billy』(白夜書房)は「スーパー変態マガジン」を掲げて、SM、スカトロ、ロリコン、奇形、そして死体とあらゆるアングラな性的趣味を総合的に網羅した、戦前から綿々と進化してきたエログロ文化の極致であった。しかし『Billy』、その後継誌の『Billyボーイ』はそれぞれ1984年、1985年に不健全図書指定を受けて廃刊となる。

『Billy』の編集長だった小林小太郎氏は1994年に「90年代の『Billy』」を目指して『TOO NEGATIVE』(吐夢書房)を創刊する。

 当時は流行の変遷が目まぐるしく、ブームが十年周期で繰り返すという期待感があった。創刊直前、中高生の頃に『Billy』の愛読者であった私は、当時所属していたSMビデオメーカー、シネマジックの創業者、横畠邦彦氏を通じて彼のサン出版時代の後輩であった小林氏と出会うことになる。今では考えられないあり方だが、私はAVから90年代の日本映画が変わるという確信の下にAV監督の道を選んだ。しかし、次世代の担い手という立場を過剰に自覚していた私は、気負うだけにAV業界に幻滅を感じてシネマジックを辞めることになった。

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 そんな時に小林氏と「90年代の『Billy』」について熱く語り合い、80年代の『Billy』に掲載されていた“ありもの”の死体写真に対する問題意識で意気投合した。私は当時から、どこの馬の骨とも知れぬカメラマンが撮った、どこの馬の骨とも知れぬ死体の写真に、どこの馬の骨とも知れぬライターがいい加減に解説を付けた記事の掲載に審美的な危うさを感じ、モノクロ表現にも不満を持っていた。ついでに根本敬氏の死体漫画には大いに疑問を持っていた。

 そうして私は「90年代の『Billy』」としての『TOO NEGATIVE』に掲載する撮り下ろしの死体写真を撮影すべくタイに旅立った。それが私の死体写真家人生の始まりであった。それは明確な意思表示であった。

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