観たら呪われる胸クソ映画『ザ・バニシング –消失-』がヤバ過ぎる!不快すぎるほど狂ったサイコ野郎が…

「これまで観たすべての映画の中で最も恐ろしい映画―スタンリー・キューブリック」「ロッテントマト驚異の98%」「サイコ・サスペンス史上No.1の傑作」

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……いくらなんでも煽りすぎではないかと思ってしまうようなキャッチコピーだが、『バニシングー消失―』にそんな心配は不要だったようだ。強烈な印象が胸に突き刺さって離れない、忘れられない、思い出しては胸クソが悪くなる……観ると後悔する可能性は驚異の100%だ。

1988年にオランダで公開され、30年の時を経て、4月12日(金)よりシネマート新宿他全国順次公開の『ザ・バニシング -消失-』のやばさをご紹介したい。

【あらすじ】

オランダ人カップルのレックスとサスキアはフランスまで車で旅行に来ていた。その行程で2人はかなり激しい喧嘩をするものの、仲直りをし、そこでサスキアは「絶対に私を離さないでね」とレックスにお願いし、レックスはそれを約束し、愛を深める。だが、そこから地獄の展開が始まる。サービスエリアで休憩すると、サスキアが飲み物を買いに行ったきり、姿を消してしまうのだ。「絶対に離さない」と約束したレックスは、狂ったようにサスキアを探すが、彼女は完全に“消失”した。

サスキアの行方を唯一知る男は、怪しいメガネをかけ、腕に包帯を巻いたレイモン。日常では良き父で、2人の娘からも尊敬され、大学教授でもあった。しかし、彼には “歪んだ実験”のためならどんなことでもする狂気があった。

サスキアの失踪から3年。死んでしまったのか、それとも生きているのかそれすらもわからないまま、レックスは新しい恋人ができながらも、まだサスキアのことを探していた。そして遂に、犯人のレイモンとコンタクトが取れたレックスを待ち受ける運命とは――!?

■知りたいという根源的な“やばい欲求”に訴求する

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 “知りたい”という思いはこれほどまでに人を狂わせるということをこの映画で知った。サイコ野郎のレイモンは自分を知るための“歪んだ実験”で人を殺す。人を殺すだけではない、愛する家族や娘までも平然と実験に利用していく。特に、家族の団らんシーンで、素晴らしい父を演じながら「弱者を演じればみんなが優しくしてくれる」ということに気づくシーンには本気で戦慄する。どんなに和やかな場面でも、レイモンの心の中には“知りたい”という欲求しか存在しないのだ。

しかも、このレイモンの見た目や佇まいの不気味さといったらない。『羊たちの沈黙』のレクター博士のような天才完璧サイコパスではなく、失敗も冒す等身大サイコパスで、「この普通感はなに…?」と、逆に気持ちが悪い。また、相手を射るような鋭い目つきではなく、変態さと間抜けさを兼ね揃えた人懐こそうな目(まさかあのケント・デリカットさんを犯人のモデルにしたのかと疑いたくなるほど激似)も不気味だ。

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一方で、レックスは恋人を真剣に探す好青年なのに、なぜか若干の気持ち悪さが強調されている。おそらく彼もまた、レイモンと同じように“知りたい”欲求に取り憑かれた男だからだ。3年間も消えた恋人を追い続ける執念を狂気として描いているのがすごい。実際、ラストではサスキアのその後が知りたいという欲求に抗えず“狂気”の選択をしてしまう。

 物事を探求しようとする好奇心は概ねポジティブに捉えられがちだが、昔話「鶴の恩返し」も好奇心に勝てない人間の愚かさが描かれていたように、時に人の心や人生を狂わす麻薬のようなものなのだ。

一度取り憑かれたら離れない“知りたい”という欲求――。そう、この『バニシング-消失-』は、我々観てる側をも、“知りたい欲求”に狂わせる呪いのような映画なのだ。後味の悪さはいつまでたっても、いやおそらく一生、消えないだろう。不快極まりないうえ、怒りすら覚えるほどだ。


★『ザ・バニシング -消失-』映画情報★

監督:ジョルジュ・シュルイツァー『マイセン幻影』『ダーク・ブラッド』  
製作:ジョルジュ・シュルイツァー、アンヌ・ロルドン
原作:ティム・クラッベ  
脚本:ティム・クラッベ、ジョルジュ・シュルイツァー  
撮影:トニ・クーン  
音楽:ヘンニ・ヴリエンテン
出演:ベルナール・ピエール・ドナデュー、ジーン・ベルヴォーツ、ヨハンナ・テア・ステーゲ、グウェン・エックハウス
1988年/オランダ=フランス合作/106分/カラー/ヨーロピアンビスタ/原題:SPOORLOOS
◆提供:キングレコード ◆配給・宣伝:アンプラグド
© 1988, Argos Film, Golden Egg, Ingrid Productions, MGS Film, Movie Visions. Studiocanal All rights reserved. 
公式HPhttp://www.thevanishing-movie.com/


【胸クソ映画二本立て】

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最凶の胸クソ『ザ・バニシング -消失-』公開を記念し、トカナでも報じたことがある、全米で300人以上を殺害したと云われる実在の連続殺人鬼、ヘンリー・リー・ルーカスの日常を淡々と綴った犯罪スリラー『ヘンリー』の特別上映が決定した。悪夢のような二本立てである。

『ヘンリー』は、内容のあまりの恐ろしさからMPAA(アメリカ映画協会)によってX指定を受け、一時お蔵入りとなった作品だ。“淡々”を極めた冷たいど迫力が恐ろしい。新聞各紙も「えげつないまでに不快な映画」とレビューしている。

本作は『ザ・バニシング -消失-』上映館での特別上映となり、日によっては『ザ・バニシング -消失-』とのハシゴ鑑賞もできるタイムテーブルが組まれる予定。

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『ザ・バニシング -消失-』上映館にて特別上映!

・シネマート新宿:4/23(火)、4/28(日)
・シネマート心斎橋:4/13(土)、4/19(金)
・名古屋シネマテーク:5/4(土)~5/10(金)
・シネモンド:5/4(土)~5/10(金)
・出町座:6/1(土)~6/7(金)
・シネマルナティック:5/31(金)~6/6(木)
・KBCシネマ:6/25(火)
・別府ブルーバード劇場:5/3(金)~5/9(木)
※上映時間未定

★『ヘンリー』映画情報★

監督・製作・脚本:ジョン・マクノートン
出演:マイケル・ルーカー、トム・トウルズ、トレイシー・アーノルド、キャム・ヘスキン

1986 年|アメリカ映画|カラー|83 分|スタンダードサイズ|原題:HENRY: PORTRAIT OF A SERIAL KILLER|1992 年劇場公開作品
提供・配給:キングレコード

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