「死の概念を覆す」10の科学的新事実! 埋葬は本能、死後の爪や髪は… 人生100年時代に死生観は激変する!
7. 最初に遺体を埋葬したのは誰か?
現在は火葬がメインの文化圏であっても、歴史をさかのぼれば人類の歴史の中で亡き者を地中に埋めて弔う土葬はユニバーサルに見られる習俗である。しかし、類人猿から袂を分かった我々の祖先で、誰が最初に土葬の儀式を始めたのだろうか。
この問を解明するのはなかなか難しいのだが、その有力候補として目されているのが謎のヒト属、ホモ・ナレディである。ホモ・ナレディの骨は南アフリカ・ヨハネスブルグのライジングスター洞窟(Rising Star Cave)で多数発見された。洞窟内の部屋にアクセスするには、垂直方向の移動、狭い箇所のすり抜け、ほふく移動など、なかなかの身体運動が要求される。
こうしたことを考慮すると、これほどの多くの個体が偶然にこの洞窟内に集結したとは考えられないという。そして、ならばこの洞窟がホモ・ナレディたちの“宿泊施設”だったのではという発想も、まず排除される。
となれば最も有力な説として浮上してくるのが、ここがホモ・ナレディたちの“集団墓地”であったという仮説なのだ。この墓地説を裏付ける決定的な証拠はまだないため、今後のさらなる調査研究が求められている。
8. “ウォーキング・デッド”は存在する
普通に考えて生と死は明確に異なる状態だ。しかしながらコタール症候群(Cotard’s syndrome)に苛まれている人々にとって、生と死の境界はそれほど明瞭ではない。
コタール症候群とは、自分自身がすでに死んでいると思い込んだり、魂が失われていると感じたり、肉体の一部を欠いているなどの妄想を抱く精神障害で、1882年に神経科医のジュール・コタール博士によってはじめて説明された。この不可解な妄想は、絶望感、健康維持の放棄、そして現実への対処が困難になるなどの症状で現れる。
53歳のフィリピン人女性のケースでは、自分自身の肉体が腐敗した魚のような臭いを発していると思い込んでいて、自分の“仲間”と一緒にいられるようにと遺体安置所に収容されることを望んでいる。
幸いにも抗精神病薬と抗うつ薬の投与による治療で彼女の危機的状態を改善したということだが、ある種の“ウォーキング・デッド”の症状を訴える人が現実に存在しているのだ。
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