「死の概念を覆す」10の科学的新事実! 埋葬は本能、死後の爪や髪は… 人生100年時代に死生観は激変する!

9. 死後に髪や爪は伸びない

 死後は新しい細胞を作り出すことができないので、髪の毛や爪は成長しない。

 グルコースは細胞分裂を促進するのだが、細胞はグルコースを分解してエネルギーにするために酸素を必要とする。しかし、死によって肉体からグルコースあるいは酸素を摂取する能力が失われるのだ。

 また死によって水の吸収もできなくなり、遺体は徐々に脱水症状を引き起こす。死体の皮膚が乾燥するにつれて、爪が指から引き離されて長く見えるようになり、顔の頬がくぼんでアゴに髭が生えたような影を落とすことで、実際には伸びていないのに爪と毛が伸びているように見えるのだ。

 埋葬後に検死などのために再び掘り起こされた不運な故人は、特にこの特徴が顕著にあらわれ、まるで“成長”していたように見間違えられる可能性が高いとも言われている。

10. そもそもなぜ死ぬのか

“人生100年時代”といわれ、実際に100歳以上の“センチナリアン”の数も増えている昨今だが、それでも110歳以上生きる人は稀だ。ではそもそも我々はなぜ死ぬのか?

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画像は「Wikipedia」より

 進化論的に言えば、人生の“成功”とは自分の遺伝子を子孫に引き継がせることである。そのため多くの生物は繁殖が終わった後には死期が近くなる。例えばサケは川の上流で繁殖が終われば、海に帰る間もなく死んでしまう。

 人間を含むある種の動物はそれとはやや事情が異なり、子育ての期間もその寿命に織り込まれている。子どもが一人前になるまでは生きて育てていかなくてはならないからだ。我が子だけではなく、孫の世話も積極的に行う「おばあさん効果(grandmother effect)」も女性の寿命が長い理由を説明するものとして一部で主張されている。

 それでもたいていの人間は100歳を超えれば寿命を迎えるが、進化論的にはそれ以上の寿命が種としての環境への適応面で期待されていないということになる。100歳を超えた肉体で孫やひ孫の面倒を見るような役目はないのだ。それでも遠い将来には、まだまだ人間の寿命が延びる可能性がないとも限らない。その場合は、もちろん“現役期間”も延長するということになるだろう。“人生100年時代”で定年が延びるというのは、進化人類学的にはある意味で自然なことと言えるのかもしれない。

参考:「Big Think」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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