松本人志の「犯罪者は不良品」発言を批判する人に読ませたい! 我々が優生主義に向かっていることを示す4つの現実とは?

 3、一方、犯罪者の脳に問題があると見て、感情をコントロールしようとする動きもある。

 2016年のアメリカ大統領選に立候補した作家で“トランスヒューマニスト”のゾルタン・イストバン氏は、犯罪者にインプラント手術をし、感情をコントロールすることを提唱した。なかなか“ヤバイ人物”のようだが、その前提には死刑制度への反対がある。イストバン氏によると、インプラント手術を施された犯罪者は再犯の危険がないため刑務所に収監する必要さえなくなるというのだ。

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画像は「getty images」より引用

 ただ、イストバン氏に真っ向から反対する人物もいる。メリーランド大学法科大学院のアマンダ・プスティルニク教授によると、「社会が絶対に許すことのできない罪についての究極の懲罰が死刑なのであって、脳にインプラントして感情をコントロールできたところでその犯罪者を許すことはできない」というのだ。 

 評論家の呉智英氏が、死刑制度は人民が本来持っていた自然権であるところの「復讐権」を国家が奪っているとし、仇討ち制度の復活を唱えているように、詰まるところ死刑制度は「犯罪者への復讐」を社会が代行しているに過ぎない。だから、犯罪者を許す許さないという話になってくる。「殺さなきゃ腹の虫が収まらない」ということだ。

 だが、“復讐”とは何とも原始的な行為ではないだろうか? 復讐に燃えて犯罪者の命を奪うよりも、犯罪者が再犯しないように感情をコントロールする方がよほど道徳的であり文明的であることは確かだ。ただ、この場合、犯罪者は脳に問題がある人物だと見なされなくてはならない。すると、犯罪は人が行うのか、脳が行なうのかという問題が出てくる。脳に原因があるとすれば、犯罪者を罰する根拠がなくなり、法体系を大きく変更する必要が出てくるだろう。

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