松本人志の「犯罪者は不良品」発言を批判する人に読ませたい! 我々が優生主義に向かっていることを示す4つの現実とは?

 
 4、感情をコントロールする脳内チップ自体は70年代より存在する。エール大学のホセ・デルガード教授が、「スティモシーバー」というチップを開発。これを脳に埋め込んで信号を流すと人間の感情を操作したり肉体を動かしたり出来ることが実験によって確かめられている。当時は「洗脳」であるとして、アメリカ国内で激しく非難されたが、脳性麻痺やパーキンソン病の患者にスティモシーバーを埋め込んだところ大幅な改善が見られたという事例が何件もあり、近年では再評価する意見も出ているようだ。

 米・エモリー大学医学部の研究チームが今年3月に権威ある医学誌「Journal of Clinical Investigation」で発表した研究で、難治性でんかん患者の開頭手術中の反応を観察して、脳の帯状束(cingulum)を微弱電流で刺激することで、当人を幸せな気持ちにさせ笑わせることができることを報告しているが、感情をコントロールする面で、スティモシーバーの研究は表向きには積極的に進められていない。だが、向精神薬は感情のコントロールに類する働きをしているではないか。薬がよくて、脳内チップがいけないというのは偏見に過ぎないのではないだろうか。

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画像は「getty images」より引用

 また、ある種の犯罪者においては外的な感情や思考のコントロールが必要だと考えさせられる実例もあり、脳科学者デイヴィッド・イーグルマン氏の著書『あなたの知らない脳:意識は傍観者である』に、脳腫瘍のために幼児性愛者になった男の話が紹介されている。このように脳の器質的な問題が犯罪の原因になっている可能性は否定できないのだ。また、シリアルキラーや凶悪犯罪者の中には、自分の思考や感情をコントロールできずに次々と殺人を繰り返したケースもある。

 そのような人々を“不良品”と言うか“患者”と言うかは言葉の問題である。ポリティカル・コレクトネス(政治的妥当性)の点から、松本の不良品発言は間違いであるが、彼が言わんとしていることは完全に間違いとは言い切れない。さらに、先述したように優生思想は隠された形で現在も生き残っている。遺伝子の選別や編集、デザイナーベビーなどがその顕著な例である。建前では人間は皆平等であるが、本音の部分では優劣を認めているのだ。そして、世界はその方向に歩み出しているようだ。松本の発言もこうした背景を踏まえた上で再度考えられる必要があるだろう。

TOCANA編集部

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