VR体験でPTSD発症、洗脳も… リアルに近づくほど強力になる“負の側面”が無視できないレベル!
■VRを使った“ミルグラム実験”は再現性が向上
VRはビデオゲームなどのエンタテインメント分野での活用が目立つのだが、その可能性はあらゆる分野へと広がっている。たとえば精神医療の分野では、各種の心理療法や恐怖症の克服を目的に、VR技術で効果的なコンテンツを開発できることが報告されている。メンタルヘルスの改善に効果があるということは、裏を返せばメンタルに影響を及ぼし得る技術であることになる。
“ニセの体験”が害のないものであるなら特にその内容を規制する必要はないが、もしもトラウマなどになり得て、体験した者のその後の人生に影響を及ぼすのであれば、そのコンテンツ内容についてはある意味での“審査”が必要になってくるだろう。
2006年の研究では、心理学の有名な実験である「ミルグラム実験(Milgram experiments)」が、VR技術を使った設定でも再現できることが報告されている。
閉鎖的な状況下で権威を持つ人物から残虐行為を命じられるミルグラム実験では、たいていの人は権威に命じられ、しかも責任を取らなくていいことを保証されると、他者に対してかなりの残虐行為を平気でできるようになることが示されている。そしてVRを使ったミルグラム実験では個人差があまりなくなり、より正確に再現できることが報告されている。つまり、VRを使った環境は狙った効果を的確に被験者に及ぼすことができるのである。
そして現実の設定と同じ反応を被験者から引き出せるということは、ある意味でVR体験は“リアルな体験”と何ら変わりないということになるのだ。2010年の研究では、VRは疑いもなく現実の生活と同様の規模の感情的および生理学的反応を生み出すことが示されている。
ということは、VRコンテンツの内容いかんでは、体験した者にトラウマやPTSDを引き起こす可能性があることになる。したがって映画やゲームなどと同じように、VRコンテンツにはより厳格な“審査”の必要性が迫られることになるだろう。
さらに憂慮すべきは、今後ますますVR技術が進歩することで、その臨場感や没入感は映画の比ではなくなるという点だ。
2009年の研究では、VR技術は映画や写真のような古い形式のメディアと比較して、ユーザーから強い感情的および生理学的反応を引き出すことができ、イマジネーションとリアリズムの両方が著しく高められていることが報告されている。例えば、いわゆる“洗脳ビデオ”がVR化されれば、人心操作技術としてきわめて効果の高い危険なコンテンツになり得る可能性が高い。
もちろん表現の自由の観点からすれば規制強化にも問題はあるが、VR技術は今後決して“仮想”などではなく、ますます“リアルな体験”になるということで、メンタルに及ぼす影響が無視できないものになりそうだ。
参考:「Psychology Today」、ほか
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