なぜウクライナのコメディアン大統領は“演説も討論も”せず大統領になれたのか!? 世も末… ポピュリズムの悪夢!
■ドラマで大統領役を熱演
しかし、政治家としてのキャリアはゼロでも、実はゼレンスキー氏、テレビ番組で大統領を演じた経験を持つ。
人気ドラマ『Servant of the People(国民の公僕)』では、大統領に上りつめた教師役を熱演していたのだ。腐敗した政界を激しい口調で糾弾するシーンが有名だという。
どうやら、有権者たちは現実と虚構があいまいになってしまい、ドラマのキャラクターに自分を重ね合わせたゼレンスキー氏の戦術にまんまと落ちてしまったらしい。まさにマルチメディアを駆使した劇場型というか、何だかリアリティー番組の様相を呈している。ちなみに、このドラマのタイトルをそのまま政党名に使い、立候補したというから実にあざとい。
カタカナ語で定着したポピュリズムは「大衆迎合主義」と訳されるそうだ。選挙戦になると、無知な大衆の感情に迎合して無責任な政策を打ち出す政治家は多く、過激発言が売りのトランプ大統領は、さしずめ筋金入りのポピュリストと呼べるだろう。
今回のウクライナの選挙結果は、紛争と経済的困窮に苦しむ同国で、ポロシェンコ政権に幻滅した有権者たちが、ゼレンスキー氏の型破りなパフォーマンスに抗し難い魅力を見いだしたということのようだ。
話題性ばかり取り沙汰される新大統領だが、現在も自身の「ウクライナ大統領」公式サイトで各国の要人たちと固く握手を交わす姿をアップし続けている。まるで望まれた役柄を粛々と演じているかのようで、シュールだ。大統領もコメディアンも人気稼業。節操のない口約束で市井の人々を煽るような“パペット”でないことだけは祈りたい。
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