「開かずの間」の壁一面にディルド、バイブ、拷問器具、注射器、メス…! 不動産執行人が見た”最凶にヤバい物件”!

 この地区の開発自体は30年ほど前であるため、住宅街に並ぶ家々のデザインに統一性はなく、言葉を変えれば個性豊かな街並みとも言える。

 そんな街角の中程に佇む何の変哲もない平凡な民家が今回の当該物件だ。

 付近の家々と異なる点といえば、しばらく手入れが放棄されて伸び放題となっている雑草、そしてチラシや手紙が飽和状態まで詰め込まれ苦しそうなポスト。

 このような放置状態がある程度の期間に及ぶ空き家の場合、債務者との連絡が取れず強制解錠案件となるケースが多いのだが、今回は幸運なことに偶然様子を見に来た債務者の父親と執行官が鉢合わせるタイミングがあったため、連絡を取り合うことで、立ち会いの手はずがとれている。

 それでは債務者親族の立ち会いがあるため、解錠を行う鍵師さんの同行がないのかと言えば、これもまた今回は異例のために同行がある。

 それは債務者の父親よりこのような言葉があったからだ。

「鍵がかけてあり、入れない部屋がある」

 早速室内に通される。

 怪談話や都市伝説で語られる「開かずの間」をイメージしてしまうと拍子抜けすることに、玄関から一番近く、一部改築で他の部屋に比べ新しさの際立つ外観の部屋が、問題の「開かずの間」だった。

 見るからにピアノまたは楽器練習用の防音室として改築された一室であったため、特段問題視することもなく開かずの間以外の調査を先行させることに。

 開かずの間解錠を鍵師さんに任せ、他の部分を見て回るが、1階2階共にこれといった問題はなく、リフォームを入れればまだまだ使える印象が強い。

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