「開かずの間」の壁一面にディルド、バイブ、拷問器具、注射器、メス…! 不動産執行人が見た”最凶にヤバい物件”!
そろそろ1階へ降りようかというタイミングで、解錠を成功させた鍵師さんが小走りで我々のもとに現れ、小声で状況を伝える。
「開きました。開きましたけど……、なんか凄いです……」
詳細が告げられぬまま、「開かずの間」へと戻ると、開いた扉の前には呆然と立ち尽くす債務者父親の背中があった。
「今日は帰ってもらってもいいですか。この部屋を片付けますんで」
背中越しにそう切り出す債務者父親の眼前に広がるのは、壁一面に並べられたおびただしい数のディルドやバイブといったアダルトグッズ。
さらに反対側の空間には床から天井までに及ぶ格子状の壁がそびえ立っており、そこには隙間なく鋲も取り付けられている。
この壁には四肢を拘束するための革ベルトのようなものも取り付けられていた。
室内に置かれた小さな移動式キャスターの上には数本の注射器、焼きごて、ペンチにメスのようなものも散見できる。
状況から判断する限りこの部屋は、常人には耐え難い苦痛を与えるための部屋、叫び声が外に漏れ難い部屋として使われていた可能性も否定できない。
債務者本人が不在のため、これらが“プレイ”として楽しまれていたものなのか、“拷問”として展開されていたのかは今も判断がつかない。
最終的にこの部屋は債務者父親により一週間ほどできれいに片付けられ、「防音室あり」と特典付きのような文句で売り出されることとなった――。
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