寝そべる胎児、埋まる頭蓋骨…「身体、ジェンダー、時間」をテーマに忘却されたDNAを表現した小宮麻吏奈個展[ -ATCG ] がアツい!
「『A2polyC』には、自分自身のDNAの波形を転記しています。皮膚を模したゴムにタトゥーインクを使って描きました。私自身、結婚をすることは考えていません。子どもを生むこともまた考えていません。なぜ男女というものがあるのか。そして、なぜ男女というルールに乗れない人々がいるのか。私が子どもを産まないと、父母、それ以前に生きていた人たちから継承されていたDNAは途絶えてしまいます。同性愛者のようなクィアの人たちは、子孫を残すことができません。そこでも遺伝子の伝達が途絶えてしまいます」
「『鍵式文様物語絵巻』は、潜伏キリシタンを例にたとえています。彼らは、信仰を守るために潜伏をしてオラショを作りました。ここに書いてあるのは、教典に書かれている文字のようなものと考えていいです。キリスト教の弾圧にあって亡くなった人たちは、遺伝子の伝達ができませんでした。映像作品に流れているのは、オラショのようなものになります。どちらも私だけが理解できる言葉になっています」
「私に子どもができなければ、DNAは途絶えてしまうのですが、最近では、日本人の精子の量が減っているという研究が発表されました。ジェンダーの問題も含めて、これらの問題は、全人類に共通する問題だと思います。こういったものを表現できるのが美術だと思っています」
「ハッ」とさせられたのは、「spotlight」という作品だ。この作品は、半透明で黄色い色をしたゼラチンのような薄い皮で作られており、彼女の想いが凝縮されているように感じられた。そこには、両親、妹、小宮さん自身の家族写真が転写されていた。この写真には、幸せな家族が写っているが、このようにして作品になると、継承できないと考えられるDNAというものが浮かび上がってくる。
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