寝そべる胎児、埋まる頭蓋骨…「身体、ジェンダー、時間」をテーマに忘却されたDNAを表現した小宮麻吏奈個展[ -ATCG ] がアツい!

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 ギャラリーの扉を開けたその瞬間から、「異界」にでも入り込んでしまったかのような思いをさせられる展示がTAV GALLERY (東京都杉並区)で、昨年末に行なわれていた。この展示をしていたのは、現代美術家の小宮麻吏奈さんだ。個展のタイトルは[ -ATCG ]。ATCGというのは、塩基記号(ATGC)のことで、 アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトニン(C)の4つを指す。これらが帯状になって螺旋を描いているのがDNAだ。

 

 まずギャラリーに入って目に飛び込んできたのは、緑色をした渡り廊下のようなものだ。鑑賞者は、その上を歩きながら作品を見ることになる。そして、つらつらと歩いて行くと、展示されている作品が目に入る。そこには、半透明で黄色い色をしたゼラチンのような薄い皮や経文のようなものが書かれている絵巻物、壺などがあった。渡り廊下には、「EYE COULER:LEKELY DARKER」と印の押された台形の粘土や意味不明のシールもある。緑色の廊下には、小さな胎児のようなものが寝そべっていたりもする。

 

 

 土に埋まった頭蓋骨が映し出されている大きな写真が中央部分にあり、その周りが土で囲まれているインスタレーションが展開されている部屋には、頭蓋骨に緑色の粘土を貼りつけていったり、作品の制作過程を記録したりしている映像に家系図がコラージュされた映像作品があった。この映像作品からは、読経のようなものが流れていた。展示全体からは、どことなくシャーマニズムの匂いを感じさせる。鑑賞者は、どのようにしてこれらの作品を紐解けばいいのかを考える。

 

 

「ATCGというのは、DNAを構成しているものになります。帯状になっているやつですね。そこに[ – ] (マイナス)をつけることによって、これまでに淘汰されたDNAという意味を持たせています。私自身の制作テーマは、身体、クィア、時間の3つです。身体は、人間の身体のことです。クィアは、非異性愛者であるジェンダーです。同性愛者もこれにあたります。時間は、生物における子孫を繋ぐという命題と、宇宙における時間の意味の連動性についてです。人間における生殖方法は、性交の一種類しかありません。性交ができない人は、子どもを作ることができません。性交ができない人や同性愛者は、そのDNAを継承することができません。そのようなものを表現しています」

 

 

 小宮さんは、今回の展示のアーティストステイトメントで「自身の身体を起点とし、新しい生殖/繁殖の方法を模索する」と記している。そこには、自分自身を出発点として社会に目を向けるといった視点があった。そのようなことから自身の遺伝子検査図を使った「遺伝子検査図」という作品も展示されていた。また、その隣には、半透明で黄色い色をしたゼラチンのような薄い皮に「遺伝子検査図」の波形が模写された作品もあった。「A2polyC」という作品がそれだ。そして、「鍵式文様物語絵巻」という絵巻物の作品には、女性と思われる顔や涅槃像などが描かれていた。その間には、半分しか書かれていない経文のようなものが書かれている。

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