世界で最も過激なアートフェス「ダークモフォ」で日本人美術家が大ブレイク!ケロッピー前田が”激やば”現地取材!

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Saeborg《Slaughterhouse-15》@Avalon Theater / Dark Mofo

――サエボーグさんは今年、あいちトリエンナーレにも参加しますね!

ケロッピー「そうですね。そんな彼女が、タブーに縛られずに世界の現代アートを揺るがし続けるタスマニアのMONAに認められ、ダークモフォのいわば主役的な役割を果たしたことは日本にとっても大きなニュースです」

――他にはどんなアーティストが参加していたのでしょう。

ケロッピー「市内展示の目玉というべきだったのが複数のアーティストの作品をまとめて観れる『ア・フォレスト』。サエボーグのパフォーマンスがあったアヴァロンシアターの向かい、ドーム型の建物からは数分おきに地鳴りのような爆発音と激しい閃光が放たれます。その音量たるや、建物内に入る前には耳栓を渡されるほどで、オーストラリアの実験音楽家マルコ・フシナトの《Aetheric Plexus (The Field)》という作品です。ポール・マッカーシーのVR(仮想現実)作品や実際に自らを14秒間火炙りにした様子を14分間の映像作品で見せるキャシルスの壮絶さが印象に残りました。

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Cassius 《Inextinguishable Fire》@A Forest / Dark Mofo

マイケル・キャンディの蛍光灯の脚があるロボット、ミーガン・シュトリーダーの発光素材を用いた光学作品、クリス・ヘンシャケのバナナやザクロの自然放射線を音楽に変換する粒子加速器など、ハイテクや機械仕掛けの作品が多いのが特徴でした。

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Chris Henschke 《Song of the Phenomena》@A Forest / Dark Mofo

 また、夜の暗がりで野外展示のアート作品を鑑賞する『ダークパス』は、夜道を歩くこと自体に意味があり、その体験性を重視しているのがポイントです。ナオミ・ブラックロックは、儀式的なパフォーマンスでノイズミュージックを即興で演じた。長い道のりの果てには、動物園全体を使ったトニー・アウスラーによるビデオインスタレーションの作品が登場するなど、その過程そのものが奇妙な体験となって記憶に焼き付けられました」

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Naomi Blacklock 《Limbic Resonance》@Dark Path / Dark Mofo

――オーストラリアといえば、アボリジニの存在も気になりますね。

ケロッピー「それについての展示は、タスマニア博物館で見ることができました。アボリジニの血統を継ぐジュリー・ゴフは、タスマニアのアボリジニ虐殺をテーマに作品を作り続けています。特に映像作品に登場する風景はどれも虐殺の現場となったところといいます。そんな過去の歴史を知るための資料は、タスマニア博物館の常設展でも見ることができました。

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《The national picture: the art of Tasmania’s Black War》@Tsmania Museum

 実際、タスマニアにもともと数千人いたアボリジニは、1803年にイギリスからの入植が始まってからの30年間で『ブラックウォー』と呼ばれる合法的な虐殺によって、フリンダーズ島に移住した数百人を残して全滅してしまいます。移住した者たちも劣悪な生活環境のために1年足らずで数十人にまで激減し、1876年に最後のタスマニアン・アボリジニの女性が亡くなります。現在、オーストラリア全土でみても、アボリジニは全人口の2%ほど。もはや都市部でアボリジニをみつけることは難しくなっています」

――結構、重い話ですね。

ケロッピー「そうなんです。実は、ダークモフォの“ダーク”という言葉にはオカルトやゴスの要素が反映されていますが、そこに関連づけられているのは、過去に実際に起こったアボリジニ虐殺であったりもします。そう考えると、長く歩かされる夜道はアボリジニたちが虐殺された現場であったりもするわけです。残酷にも見える過激なパフォーマンスが広く受け入れられる背景には、過去の歴史を踏み越えて浄化していこうというポジティブな意思があるようにも思いました」

――なかなか深い話なんですね。

ケロッピー「そして、やはりアート作品の最大の展示会場となっているはMONAです」

――おおっ、楽しみです!

(つづく)

[あいちトリエンナーレ]

2019年8月1日(木)~10月14日(月・祝)

愛知芸術文化センター/名古屋市美術館/名古屋市内のまちなか(四間道・円頓寺)/豊田市(豊田市美術館及び豊田市駅周辺)

公式サイト:https://aichitriennale.jp

サエボーグ 『House of L』@愛知県芸術劇場・大リハーサル室

公演日時 8月31日(土)・9月1日(日)12:00~18:00/9月3日(火)- 6日(金)18:00~21:00/9月7日(土)・8日(日)12:00~18:00

※9月2日(月)は休館

公式サイト:https://aichitriennale.jp/artist/saeborg.html

※イベント情報(ケロッピー前田)

7月12日『カニバ/パリ人肉事件38年目の真実』(詳しくはこちらから

7月15日(月)『フェチフェスR15』(詳しくはこちらから

7月19日(金)トーク:JOMON TRIBE(大島托 x ケロッピー前田) & more ※阿佐ヶ谷TAVギャラリー5周年記念グループ展 7/6 – 7/21 関連イベント (詳しくはこちらから

8月1日『ケロッピー前田とゆく驚異の身体改造の旅!! 2019』@大阪ロフトWEST (詳しくはこちらから

文・写真=ケロッピー前田

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