鬼畜、悪趣味、世紀末…90年代サブカルは令和で消滅するか? ロマン優光&姫乃たま&『BURST』軍団が緊急会議!

★5月20日(月)阿佐ヶ谷ロフトAにて、バースト・ジェネレーション主催による「90年代サブカル最高会議」なるトークイベントが緊急開催★

バースト・ジェネレーション(東京キララ社)
90年代サブカルの呪い/ロマン優光(コアマガジン)

 令和の到来とともに、平成という時代が総括されている。そんな中で、悪趣味、鬼畜、世紀末など、「90年代サブカル」と総称されるような一連の表現物や社会現象もまた、いまの時代感覚で整理整頓されようとしている。昨年末、日本の90年代を疾走した雑誌『BURST』が『バースト・ジェネレーション』(東京キララ社)として復刊した。責任編集を務めるケロッピー前田は、『BURST』復刊自体が90年代サブカル議論に対する、時代の当事者であった立場からの回答であったという。

 それについては、90年代サブカル議論の渦中にある根本敬氏とケロッピーの対談がすでにTOCANAで発表されている。その後、ロマン優光氏が『90年代サブカルの呪い』(コア新書)を出版したことから、再び、この議論が盛んになっている。それはつまり、90年代サブカル問題は、作り手側だけでなく、受け手としての読者にとっても思春期の記憶として、後戻りできないトラウマとして議論が尽きないテーマとなっているということだろう。

『BURST』のメンバー。左から、福田光睦、石丸元章、ピスケン、釣崎清隆、ケロッピー前田

 絶賛編集作業中の『バースト・ジェネレーション』第2号の出版が遅れていることもあり、5月20日(月)阿佐ヶ谷ロフトAにて、バースト・ジェネレーション主催による「90年代サブカル最高会議」なるトークイベントが緊急開催されることとなった。その予習編として、責任編集・ケロッピー前田に90年代サブカルについて聞いてみた。(聞き手:辻陽介[ウェブマガジン『Hagazine』 編集人])

 

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『BURST』責任編集:ケロッピー前田

「今回はケロッピー前田さんと90年代サブカルについて話してみたいと思います」

ケロッピー「辻くんは『BURST』を発光していた白夜書房(コアマガジン)から独立してフリーでやっているわけだから、その血統を継いでいるよね」

「そうですね。確かに『BURST』が『バースト・ジェネレーション』として復刊したことは個人的にも感慨深かったです」

ケロッピー「パンクやタトゥーが載っているから『BURST』ってことじゃない。あの特殊な雑誌が持っていた雰囲気や魅力は、現実とどうやって向き合っていくかっていう『アティテュード(態度)』みたいなものだったんだよね」

「僕もそれは感じます。90年代、まだ思春期だった僕が読者として『BURST』を読んだときの衝撃は、学校で教えられた世界、テレビを通じて見てきた世界とは全く違う、もうひとつの現実が僕の小さな世界の向こうに広がっているという感覚でした」

ケロッピー「当時はまだ、テレビに象徴されるマスメディアが表の世界を作っていて、それに対抗するように、アンダーグラウンドといわれる世界を発信する雑誌媒体として、『バースト』は支持されていたからね」

「さっそくですが、5月20日のイベントの予習編ということで、まずは90年代サブカルの前史のあたりからおさらいをお願いします」

 

 ケロッピー「まず、前史として重要なことは、80年代、日本のエロ本はサブカルチャーのゆりかごだったってことだよね。いまから考えると想像できないことかもしれないけど、いわゆる日本のエロ本には『性器さえ見せなければ何をやってもいい』という風潮からエロ以外のカルチャー記事が結構紛れ込んでいたんだ。その典型としてよく取り上げられるのが、高杉弾や山崎春美が作っていた『Jam』(79年~)や『HEAVEN』(80年~)、そして、末井昭さんが編集長を務めた『写真時代』(81年~)や『ウィークエンドスーパー』(77年~)なんだよね」

「末井さんについては、映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018年公開)で、その時代の雰囲気がよくわかりますね」

ケロッピー「編集者的にいうと、自動販売機でエロ本が売られていた時代があって、自販機本としてパンクやドラッグを取り上げてぶっ飛んでいたのが『Jam』や『HEAVEN』だった。一方、末井さんが作っていた『ウィークエンドスーパー』は映画雑誌、『写真時代』は写真雑誌として一般書店に並べていたけど、写真家・荒木経惟をメインにして、内容的はかなり際どいエロ写真が満載でエロ本としても読めるけど、前衛芸術的なシュールな過激さがあった」

「僕は『Jam』のリアルタイム世代じゃありませんが、芸能人ゴミ漁りシリーズとして歌手の山口百恵のゴミ漁りをしていた、というのはアングラ一般教養として知ってます(笑)。それがのちの村崎百郎さんのゴミ漁りにつながっていった、と」

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