未だ解明できない1000年前の「プラハ城の人骨」の正体とは!? たった一人の男の骨の謎…ナチスとソ連も魅了された!

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棺の調査の様子。画像は「Daily Mail」より引用

■ナチスドイツ、そしてソ連が……

 プラハ城は9世紀以来、政治の中心地となってきた場所だ。かつてはボヘミア国王や神聖ローマ皇帝といった王家の居城とされ、現在でもチェコ共和国の大統領府が置かれている。1939年にナチスドイツがチェコスロバキアに侵入、占領した際にもプラハ城は本拠地とされ、チェコの統治者となったラインハルト・ハイドリヒはボヘミアの王冠を頭に乗せて王を気取ったとされる。

 ご存じの通り、ナチスドイツはアーリア人種やゲルマン民族の優位性を科学的に証明しようとしていた。そこで目を付けたのが数年前に見つかったばかりの人骨であった。発見された人骨はプラハ城が作られた当初の王や有力者である可能性も高く、ナチスドイツはその“正体”や“来歴”を利用しようと考えたのである。

 そして1940年、ナチスドイツの考古学者チームから、この人骨がゲルマン民族であるヴァイキングの戦士であり、プラハ城を作った最初の人々はスラブ人ではなく、ゲルマン人であった証拠であるという内容の報告が発表された。この時期の調査によると、人骨は死亡時40歳前後、身長175センチほどで、足には発達した筋肉の痕跡が残っており、「全体的に北欧人種の男性」とされた。

 その一方、発見者のボルコフスキーはナチスドイツから批判されることとなった。彼は副葬品の特徴からスラブ系だと考えており、論文も出していた。ナチスドイツと相反する研究内容であったため、ボルコフスキーは国家主義的理由から発見の公表をためらったと批判されたのである。さらには強制収容所送りをちらつかされ、彼はそれ以上の研究を諦めざるを得なくなった。

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