「リアル下水道」に入れる激レアスポット『小平市ふれあい下水道館』に潜入!ワクワクの反面、恐怖もある面白さ… 村田らむ取材!

――B級スポット、樹海や禁断の土地、ホームレス取材を得意とするルポライター村田らむが寄稿!

※地下5階「リアル下水道」突入は4ページ目より

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 午前中から港区に取材に出かけたが、昼前には片付いてしまった。

 小雨がぱらつく鬱陶しい天気ではあったが、前から行ってみたいと思っていた『小平市ふれあい下水道館』に足を運ぶことにした。

 最寄り駅は西武国分寺線の鷹の台駅だ。一時間以上かけてのんびりと電車で向かった。

『小平市ふれあい下水道館』は、小平市が1990年に公共下水道汚水整備完了したことを記念して、1995年に開館した施設である。

 若い読者の皆さんの家は、おそらく生まれた時から水洗便所だっただろう。

 今から40年ほど前、僕が小学校の頃、僕の実家はボットン便所だった。

 和式便所に直径40センチくらいの穴が空いていた。深さは3〜4メートルくらいあった。ウンコをすると一拍間を置いて、ボトンと音がした。よくボットン便所は跳ね返りがあると言うが、穴が深かったためかあまりなかった。

 僕がその家に住み始めたのは4〜5歳だったと思うのだが、その穴には強い恐怖を感じた。子供の体躯なら落ちる可能性もある。そして落ちたら糞便まみれになって死ぬのだ。想像する中でも最悪の死に方の一つだ。

 穴の中で死んでいく自分を想像しては、布団の中で身震いしていた。

 そんな話をすると、

「ボットン便所があったら部屋はずいぶん臭かったでしょう?」

 と聞かれる。

 住んでいた時は、臭い臭いと年中思っていたわけではない。しかしやっぱりトイレの中は臭かったし、家全体も少しは臭かったのだろうと思う。ずっと臭い続けているから、鼻が慣れてしまっていたと思う。今、タイムスリップして、あの頃の実家に入ったら「うわっ臭っ!!」と思うかもしれない。

 数週間に一度青いバキュームカーがやってきて、溜まった汚物を汲み上げる。ゴゴゴゴゴッという音が響く。便座から穴の中を覗くと、糞便が渦を巻いて吸い取られていくのがわかった。

 汲み取りの時は、ハッキリと臭いがのぼってきた。ひりたての大便の臭いとは違う、どこか陰湿な臭いだ。少し目に染みるのは、アンモニアのせいだろうか? そこに洗剤などの合成芳香剤の臭いも混じっている。その独特の臭いは深く脳に刻まれている。

 小学年4〜5年生の頃には、自宅は水洗便所になり、その臭いを嗅ぐこともなくなった。

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