思考や感情を読む「マインドリーディングデジタル技術」進化の代償! “心”という究極の個人情報が奪われる!
となれば、思考や感情を読むには侵襲式が適しているということになる。幸いなことに、脳内に存在するニューロンの数は多いものの、行動や思考を構成するタスクの一つ一つに関わっているのは、せいぜい数千個のニューロンにすぎない。
たった100個のニューロンと接しているだけでも、その動きから思考のプロセスを推測することはすでに可能である。カナダのBattelle社では、身体に麻痺のある男性の脳にわずか数十個のニューロンを観測する侵襲式センサーを埋め、考えるだけで機械の腕を制御できるようなシステムを開発している。
■望まれているのは非侵襲式BCI
侵襲式は脳内の情報の流れを読み取るのに適しているが、多くの人は身体の麻痺や視覚障害などの回復によほど役立つような場合以外、脳内に直接センサーを埋め込むようなことはしたくないだろう。BCI技術の研究開発とデータの収集、そして普及のために望まれているのは、高性能・高精度な非侵襲式システムの登場である。
そのためのキーとなりそうなのが機械学習と新たなスキャン技術の登場である。これまでの研究で蓄積したデータをコンピュータに学習させ、信号とノイズを適切に分離することが可能となってきている。また、経頭蓋直流電気刺激などの脳内をスキャンする新たな方法の導入によって、非侵襲式の読み取り精度は目覚しい向上をみせている。
いずれ、頭皮に直接接触させるだけで脳内の信号をかなり正確に観測できるようなシステムが可能になると考えられている。そうなれば頭部にセンサーを取り付けるだけで、手も触れずにPCやスマートフォンを操作するようなことも可能になり、我々の日常生活を大きく変えることになるかもしれない。
しかし、その利便性の陰には大きな罠が潜んでいる。現在のSNSやスマートフォンがそうであるように、センサーで捉えられた我々の脳内の情報は知らぬうちに蓄積され、第三者に勝手に送信されることだろう。検索やサイトの閲覧履歴どころか、思考や感情という究極の個人情報を収集することが可能になるのだ。Facebook社など世界中の企業がBCI分野にこぞって参入するのも、もちろんこの宝の山を狙ってのことである。
技術の進歩は我々に大きな恩恵を与えてくれるが、それと引き換えにして、プライバシーは大変な危機にさらされている。その意味と危険性を我々はそろそろ正面から認識し、真剣に議論すべきではないのだろうか。
参考:「ZDNet」ほか
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2024.10.02 20:00心霊思考や感情を読む「マインドリーディングデジタル技術」進化の代償! “心”という究極の個人情報が奪われる!のページです。脳、感情、思考、最新研究、BCI、マインドリーディングデジタル技術などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで