脳波をもつ培養「ミニブレイン」、考えるだけでなく“苦しんでいる”可能性が浮上! 倫理、感情、意識…研究者困惑!

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画像は「Daily Mail」より

 遂に超えてはいけない一線を超えてしまった。人工脳を巡って非難の声があがっている。

 昨年11月、実験室で造られるミニ・ブレインから世界で初めて脳波が検出されたことを米カリフォルニア大学サンディエゴ校の神経科学者アリソン・ムオトリ氏が報告し、世界中に衝撃が走ったことは記憶に新しい。

 科学誌「Nature」によると、研究者らはヒト幹細胞から記憶や認知を司る大脳皮質の細胞を誘導し、何百個もの脳オルガノイド(ヒト幹細胞を培養して作る生物の組織や臓器に似た形を持つ構造物)を培養した。それらは10カ月にわたって培養され、ヒトの脳と同じような遺伝子発現をしていることが確認されたのみならず、その表面に電気的なパターン、つまり脳波を生じていたのだ。

 このまま研究が進めば完全な人工脳を作ることができるかもしれないが、ここに来てミニ・ブレイン研究に待ったがかかった。英紙「Daily Mail」(10月21日付)によると、人工脳の倫理的問題が指摘され始めているというのだ。米カリフォルニア州グリーン・ニューロサイエンス・ラボラトリーのエラン・オハヨン氏はこう指摘している。

「オルガノイドが感覚を持つならば、我々は一線を超えてしまっているでしょう。なんであれ苦痛を感じさせる危険がある研究はすべきではありません。オルガノイドが活動していることは既に観察されています」(オハヨン氏)

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画像は「Daily Mail」より

 オルガノイド研究は倫理的・法的な整備が未熟なまま続けられている。ムオトリ氏の報告の前にも、ハーバード大学の研究により、オルガノイドが大脳皮質の神経細胞や網膜細胞に成長し、8カ月のオルガノイドは独自の神経網を発達させていることが明らかになっていた。

 さらに、米・ソーク研究所の遺伝学者フレッド・ゲージ氏は、人間の脳のオルガノイドをマウスに移植する実験を行い、成功させている。平たく言えば、人間とマウスのキメラ生物を作ってしまったのだ。ややマッドサイエンティスト気味なゲージ氏だが、生命倫理の重要性も指摘している。

「科学において倫理的な問題を問うのに早すぎるということはないと思います。思慮深い対話が科学研究と科学的な決定を導くのです」(ゲージ氏)

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