本当にあった「別れた男」のゾッとするほど怖い話! 執念、霊、とぐろを巻く蛇…川奈まり子の実話怪談「再会」
「人間て本当にショックで気絶するものなんですね。映画やドラマの中だけかと思ってました。でも、すぐに意識が戻って、怖がっていてもしょうがないから、夫と一緒に玄関の水を雑巾で拭いたんですけどね」
そう言った満奈美さんの声に笑いが含まれていたので、私は安堵した。
そのときはさぞかし怖かっただろうが、今では安心して話せることなのだ。すべては、もう終わったことなのだ……。
「海水みたいだ、と、夫が言っていました。私は臭いを嗅ぐのがイヤでなるべく口で息をしていたんですけど、確かにあの水は少し磯っぽい臭いがしたので、津波で死んだから海水を持ってきたんだと思いました。あんなに気味の悪い掃除は二度と御免です」
「そうでしょうね。その後は?」
「私たちが帰ってから、父が代々の墓があるお寺に行って、ご住職にお祓いを頼んだそうです。ご住職に家に来てもらったときには母も退院していて、一緒にお経をあげたと聞いています。それからは何事も無いと……」
「満奈美さんは、お祓いは受けなかったんですか?」
「東京に戻った後で、家族3人で清祓(きよはらい)をしてもらうために、近所の神社に行きました」
清祓は、現在一般的には、人や物、場所の穢れを払うお祓いとして知られている。単に「お祓い」と呼ばれることの方が多いが、清祓と称することにこだわる神社もある。皇族ならびに朝廷役人の罪穢を除く京都の大祓が室町末期に中断し、元禄の頃に復活されて清祓と呼ばれるようになったが、明治以降は再び大祓に戻った……などということは、今はどうでもよい。
「穢れを祓ってもらったんですね。帰ってすぐに、ですか?」
「そうもいかなくて、ちょうどあの日から1週間後に。それまでの間、毎晩、息子が赤ちゃんがえりしたみたいになって大変でした! 夜泣きをして、おねしょまで……。それが、神社に行った途端にピタリと治まったから、効き目があったんだと思います」
「お子さんはオバケを見たと言っていたんですよね? どんなオバケか訊いてみましたか?」
「それが……私は絶対それはあの人に決まっていると思い込んでいたので、あえて訊き出そうとはしなかったんですよ」
「まあ、普通そう思いますよね。あの状況なら」
「そうですよ。でも、違ったんですよ!」
「違った?」
「はい。私がいないときに、夫があの子に質問したそうです。そしたら、人間ではなくて、大きな蛇のオバケで、しかも、それがいたのは玄関ではなくて、庭だったんですって。私が帰ってきたとき、子どもは隣の部屋でテレビを見ていました。そして玄関で大きな音がして振り返ったとき、窓の外が視界に入った……すると、そこに蛇のオバケがいた、と……。太い蛇の胴体が庭じゅうを埋め尽くしていたそうです。夫からそう聞いて、私も訊いてみました。すると、僕の体より太い蛇が庭でとぐろを巻いてうねっていた、頭は見えなかったって……」
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2024.10.02 20:00心霊本当にあった「別れた男」のゾッとするほど怖い話! 執念、霊、とぐろを巻く蛇…川奈まり子の実話怪談「再会」のページです。3.11、元カレ、怪談、川奈まり子、情ノ奇譚などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで