エリサ・ラム事件の真相とは…闇に包まれたセシルホテルの謎

画像は「X」より

不可解な失踪

 2013年1月、カナダ人大学生エリサ・ラムさんは、バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学での学業を一時中断し、西海岸沿いを一人旅で訪れていた。列車でサンディエゴからロサンゼルスに到着したラムさんは、その後サンタクルーズへ向かう予定だった。

 家族は一人旅を心配していたが、ラムさんは毎日電話で無事を知らせることを約束した。しかし、1月31日、ロサンゼルスのセシルホテル(現在はStay on Mainに改名)をチェックアウトするはずだったラムさんから連絡が途絶えた。心配した両親はロサンゼルス市警に捜索願を出した。警察はホテルを捜索したが、ラムさんを見つけることはできなかった。果たしてラムさんはどこへ行ってしまったのだろうか?

奇妙なエレベーターの映像と水タンクでの発見

 まもなく、警察はセシルホテルの防犯カメラ映像をウェブサイトで公開した。映像には、失踪当日のラムさんがホテルのエレベーター内で奇妙な行動をとる様子が映っていた。

 粗い映像の中で、ラムさんはエレベーターに乗り込み、すべての階のボタンを押す。エレベーターの中と外を繰り返し出入りし、廊下に向かって体を傾けたり、奇妙な手の動きをしたりしている。誰かとかくれんぼをしているようにも見えるが、映像にはラムさん以外の人物は映っていない。

 この謎めいた映像は、カナダや中国でも話題となり、何百万人もの人が視聴した。映像公開から2週間後の2月19日、ホテルの作業員サンティアゴ・ロペス氏は、屋上の貯水槽の中でラムさんの遺体を発見した。水圧が低い、水道水に奇妙な味がするという宿泊客からの苦情を受けて貯水槽を確認したところ、遺体が浮かんでいたという。

 ロサンゼルス消防署の署長は遺体を引き上げるために貯水槽の水をすべて抜き、側面を切り開く必要があったと述べている。一体なぜラムさんは貯水槽の中にいたのだろうか?

謎の死をめぐる憶測と裁判

 ラムさんの遺体が、映像で着ていた服を着たまま貯水槽の中で発見された経緯は、未だ謎に包まれている。ホテルのスタッフは、ラムさんが一人でいるところしか見ていないと証言している。

 しかし、ラムさんが亡くなる前に彼女を目撃した人物がいた。近くの書店The Last Bookstoreのオーナー、ケイティ・オーファン氏は、ラムさんがバンクーバーの家族のために本と音楽を買っていたのを覚えているという。

 検死の結果、ラムさんは双極性障害の治療薬を服用していたことが分かったが、アルコールや違法薬物は検出されなかった。検死報告書では、薬物やアルコールの痕跡がなかったことから、ラムさんの死因はうつ病とされ、「事故」として処理された。

 しかし、インターネット上では様々な憶測が飛び交った。Redditユーザーが検死報告書の要約を共有し、ラムさんが抗うつ薬と気分安定薬を服用していたこと、抗精神病薬は最近服用していなかったことが指摘された。

 双極性障害とうつ病を患っていたラムさんは、薬を正しく服用していなかった可能性があり、抗うつ薬を不適切に使用すると躁症状が現れることがあるため、エレベーター内での異常な行動は薬の影響ではないかという意見もあった。

 ホテルの支配人エイミー・プライス氏の証言によると、ラムさんは最初は相部屋に宿泊していたが、ルームメイトから「奇妙な行動」を指摘され、個室に移されたという。しかし、精神的な問題があったとしても、なぜ貯水槽の中で亡くなっていたのだろうか? 多くの疑問が残る。

セシルホテルの暗い歴史

 プライス氏は、「事件の最初から深く関わってきた。エリサ・ラムの死に陰謀はないと100%確信している。私はあらゆる操作に立ち会い、警察と協力してきた。陰謀論ではなく、精神疾患に焦点を当ててほしい」と述べている。

 ラムさんの両親は、ホテル側に安全対策の不備があったとして訴訟を起こしたが、裁判所はラムさんの死は「予見不可能」だったとして訴えを棄却した。

 貯水槽のメンテナンス作業員は、屋上へのアクセスにはアラームが設置されており、ホテルのスタッフのみアラームを解除できると証言している。

画像は「How and Why’s」より

 なお、エリサ・ラムさんの死は、セシルホテルで起きた最初の悲劇ではない。1927年の開業以来、セシルホテルでは16件の不審死と奇妙な超常現象が報告されている。

 ラムさんの事件以外にも、1947年に女優エリザベス・ショートが殺害された「ブラックダリア事件」も有名だ。彼女は残忍な死を遂げる数日前、ホテルのBARで飲んでいるところを目撃されている。

 また、ホテルには「ナイトストーカー」ことリチャード・ラミレスや、「ウィーン絞殺魔」ジャック・ウンターヴェーガーといった凶悪犯が宿泊していたこともある。セシルホテルは、ロサンゼルスで最も呪われた場所の一つとして知られているのだ。

 エリサ・ラムさんの悲劇的な死は、ライアン・マーフィー監督の「アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル」などの作品にも影響を与えている。

 エリサ・ラムさんの不可解な死は、セシルホテルの暗い歴史と相まって、多くの謎を残している。果たして彼女の死は本当に事故だったのだろうか? それとも何者かの陰謀、あるいは超常現象的な何かが関わっていたのだろうか?セシルホテルの暗い歴史は、これからも人々の想像力を掻き立て、様々な憶測を呼び続けるだろう。

参考:How and Why’s、ほか

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