本当にあった「別れた男」のゾッとするほど怖い話! 執念、霊、とぐろを巻く蛇…川奈まり子の実話怪談「再会」

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画像は「Getty Images」より引用

 蛇は水神の化身で、海で亡くなった健朗さんとは水繋がりになる。

 また、インタビューの後、満奈美さんが健朗さんの幽霊と遭遇してしまった開成公園について調べたところ、こんな興味深い経緯も見つけた。

 開成公園には「せせらぎの小径」という遊歩道がある。ここがまさしく2人が再会した場所なのだが、この遊歩道は郡山市下水道部下水道維持課が管理している。

 小径なのに、なぜ、水道部の管轄なのか?

 その理由は、この場所に地下部と地上部の二段水路があり、暗渠の排水路を流れる雨水を浄化設備に送り込み、濾過された綺麗な水を遊歩道沿いに造った人工の小川に流しているからだ。

 川の浄化のために考えられた仕組みだという。

 つまりそこには元々、天然の川があった。

 その川の名前は、夜討川。

 1588年(天正16年)郡山城をめぐる伊達政宗軍と会津芦名連合軍との戦「郡山合戦」は「夜討川の戦」とも呼ばれる。

 血なまぐさい合戦の舞台に、遊歩道と小川が造られたわけだ。

 彼の世との境が開きやすい場所だったのかも……。

 ましてや2人が会ったのは黄昏の時刻、彼の世と此の世が交錯する逢魔が時。

 健朗の執念が彼を束の間、蘇らせたのだろうか。

 もちろん違う解釈できると思うけれども、私には、水神さまが彼を憐れんで再会の手助けをしたようにも感じられた。

 満奈美さんにとっては迷惑な存在だったに違いないが、健朗も可哀そうな人だと思う。

 心残りが、あったのだ。

 あきらめがついて、旅立ったのならいい。

 その方が、穢れとして祓われるより、いくらか救いがある。

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文=川奈まり子

東京都生まれ。作家。女子美術短期大学卒業後、出版社勤務、フリーライターなどを経て31歳~35歳までAV出演。2011年長編官能小説『義母の艶香』(双葉社)で小説家デビュー、2014年ホラー短編&実話怪談集『赤い地獄』(廣済堂)で怪談作家デビュー。以降、精力的に執筆活動を続け、小説、実話怪談の著書多数。近著に『迷家奇譚』(晶文社)、『実話怪談 出没地帯』(河出書房新社)、『実話奇譚 呪情』(竹書房文庫)。日本推理作家協会会員。
ツイッター:@MarikoKawana

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