【20年目の世田谷一家殺害事件】犯人は死んだのか、島根切断遺体事件や自殺調査も
【20年目の世田谷一家殺害事件】犯人は死んだのか、島根切断遺体事件や自殺調査も…最凶未解決事件「迷宮の歪んだ真実」(後編)
■周辺エリアの自殺や死亡事故を捜査していた警察
長年かけて追いかけ、ついに突き止めた容疑者が既に死亡していた……。これもまた立派な事件解決ではあるが、関係者や捜査員の中にやり切れないものが残るのもまた事実だろう。ただ、捜査を続けていれば、このような形であっても解決までたどり着くこともあるのだ。
もちろん捜査対象が死亡していた場合、捜査は極めて難しくなることには違いない。火葬・埋葬されてしまえばDNAや指紋の採取は不可能だし、なにより、捜査対象(容疑者)からの供述も得られない。
仮に、ある人物が容疑者である可能性が高いとなれば、その家族などのDNAを採取して一致度を調べることも、できるにはできるだろう。だが、あくまでそれは任意での捜査協力であり、協力を求めるには相当の理由が必要となる。
「9年前に亡くなったお宅の息子さんが殺人犯の可能性があるので、ちょっとあなたのDNAを鑑定させてもらえませんかね?」
ある日突然、警察にそんなことを言われて、快く同意できる人がどれほどいるだろうか。任意であればなおさら、誰も素直に応じてはくれないだろう。
それでも、警視庁は、犯人が既に死亡している可能性も含めて捜査を行っている。事件直後の2001年1月以降、世田谷や狛江、調布など周辺で起きた自殺や死亡事故を捜査したこともあったという。
ただ、一般にはあまり知られていないが、警察機関は社会で起きる「死亡情報」をほとんど把握できていない。そもそも、死亡者のデータベースがないのだ。
事件や事故であれば警察が扱う案件となるが、病死の場合、警察はまず関与しない。また、通常の自殺や交通事故による事故死では、DNAや指紋を採取することもない。それらを扱った書類資料にしても、長期間に渡り保管しておくわけではない。
世田谷一家殺害事件の発生から何年も経過してから、事件直後にあった自殺事案を調べ直したところで、既に当時の資料はほとんど残されていない状況だった。また、警視庁は、あくまで東京都内を管轄する警察機関である。仮に犯人が東京都外で死亡していたら、それを知り得ることはできない。
それでも、警視庁は、事件当時に世田谷や調布などに縁があり、他県で死亡した人物がいないか、情報収集しようとしたことがあった。
しかし、ある特定の人物の生死は調べられても、不特定の死者の情報を後から入手することは極めて困難なのが現状だ。捜査はほとんど進まなかったという。
捜査員や事件関係者の中には、「そもそも犯人はまだ生きているのだろうか」という、答えのない問いを抱え続けている人も少なくない。
だが、迷宮入りした未解決事件が突如、解明されるのは、いつもほんの些細なことがきっかけである。それが、いつどのような形で動き出すかは分からない。可能性は極めて低いかもしれない。しかし、絶対に解決が不可能かと言えば、決してそうではない。
警視庁は当面、事件の捜査を打ち切るつもりはないだろう。この事件は、もはや警視庁という枠を超え、日本警察の威信をかけても取り組むべき未解決事件の象徴になっているのだ。いつか解決にたどり着く日が来るならば、そこには、これまで誰も予想だにしなかった犯人がいるのではないだろうか。
(完)
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