【20年目の世田谷一家殺害事件】犯人は死んだのか、島根切断遺体事件や自殺調査も…最凶未解決事件「迷宮の歪んだ真実」(後編)

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〜裏社会や警察事情にも精通する作家・ジャーナリストの沖田臥竜による緊急掲載シリーズ・最も不可解で謎に満ちた未解決事件~

事件現場は、祖師谷公園内の一角に保存されている。

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■2年前に公表された「犯人は15歳から20代くらい」

 20世紀最後の日に発覚した世田谷一家殺害事件。家族4人が惨殺される衝撃的な事件現場には、数多くの遺留品が残されていたにもかかわらず、捜査はデッドロックに乗り上げてしまっている。

 刑事訴訟法の改正による時効撤廃により、警視庁捜査一課の執念ともいえる捜査は続いているが、現在に至るまで進展は見えてこない。筆者は、これまで犯人に関して仮説を述べたことはないが、それは仮説ですら一本の線に繋ぎ合わせるストーリーが浮かばないからだ。それほどまでに、この事件には謎が多い。

 例えば、外国人犯人説に則った場合、2018年5月に公表された、「事件当時の犯人の年齢は15歳から20代くらい」が、どうしても引っかかる。そんな若者が、何らかの理由で異国の地である日本にやって来て、逮捕もされることなく一家強盗殺人という事件をやれるだろうか。そしてその後、易々と国外に出国することができるだろうか。少なくとも15〜16歳といった年齢の少年には無理ではないのか。

 あるいは仮に、事件後も日本国内に留まっていたとする。これだけの殺害事件を犯しておきながら、通常の社会生活を送ることができるだろうか。尋常では考えられない異常性を胸に宿しつつ、ひっそりと息を潜めて、20年もの間、暮らしていくことができるものだろうか。

 事件前の犯人がどの程度の社会生活を送っていたのかもまた、判別しようがない。考えられるのは、事件後にその“タガ”がより一層外れてもおかしくないということだ。それはそうだろう。逮捕されれば自らの生命で報いを受けることは確定している。秘めた異常性を隠しきれなくなって、更なる事件を起こしたとしてもおかしくない。

 だがその後、どの事件現場からも世田谷一家殺害事件現場に残されていた犯人の指紋やDNAは検出されていない。ならば、やはり事件後に出国したと考えるのが自然だろう。さらに、遺留品などからすれば、年齢的に10代とは考えづらい。

 では、犯人が出国した、つまり外国籍だとすれば、なぜ世田谷周辺に土地勘があったのだろうか。確かに現場は比較的裕福な人が多い地域ではあったが、いわゆる「高級住宅街」ではない。同じ世田谷でも、成城など富裕層が集まる地域は他にあるし、行き当たりばったりで金銭目当ての事件を起こすならば、候補地は東京都内にいくらでもあったはずだ。

 また、少なくとも、誰かに命じられた犯人が宮澤さん一家を殺害したとは、とても考えられない。誰かの指示ならば、発覚するリスクを恐れて現場からすぐに撤収するはずだ。だが、犯人にそのような形跡は全くない。むしろ、現場で飲食していた痕跡は、その精神の異常さを際立てている。犯人は自らの意志で犯行に及んだ――そう考えて間違いないのではないだろうか。

 警視庁は今も捜査を続けている。しかし、歳月の流れも考慮すると、幾重の偶然でも重ならない限り、世田谷一家殺害事件の真相を迷宮から取り出すのは相当に困難なのではないだろうか。

 以前にも書いたが、長年、現場で事件取材を続けてきた人の言葉が蘇る。

「調べれば調べるだけ、世田谷だけはわからない」

 その言葉が、重くのしかかってくるのであった。

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