外出自粛中に病んだ心に効果絶大! 東大教授が癒し威力を保証する「都市空撮映像」を熱弁!
鎮静陶酔系『virtual trip』と覚醒躍動系『東京空撮夜景』……対照的な美を同じ題材で味わい比べるという貴重経験ができるわけですが、それにしても納得いかない点が一つあります。二作品とも、なぜかあそこを丸無視してるんです。あそこ、あの街。……池袋です。入都式[1]が毎年行なわれる東京芸術劇場のある池袋。〈埼玉県の植民地〉と言われながら、最も東京らしい街だと思うのだが。
地区別経済規模では池袋は新宿に次いで第2位、2019年春の「首都圏利用商業施設ランキングトップ10」には池袋から3つもランクインしています[2]。ビジュアル的にも、とくに2007年頃ならサンシャイン60のふもとでトヨタのアムラックスが青い妖光を放っていたはず。いまや薄れつつある魔都ムードを記録しておいてほしかったですが……[3]、三大副都心の一角を省いても全然響かない大東京の余裕は、感慨深いとも言えるかな。
関西の都も負けてはいません。『virtual trip 空撮 大阪・京都・神戸』(ポニーキャニオン)は2010年撮影、ほんのりレトロな三都の昼夜を楽しめます。梅田~中之島の高層ビル群、大阪城、通天閣、道頓堀……行く先々の主要スポットがカメラを吸い寄せます。
東京がブクロを放っておいたように、大阪もキタとミナミだけで勝負して、咲洲あたりは圏外に温存したかったことでしょうが、あべのハルカスがまだ存在しないとあって、WTCビル(現・さきしまコスモタワー、256m)の引力にヘリが捕まってしまいます。でもこれ、正解でした。遠路まっしぐら、大阪南港を滑空してゆく長尺シーンはもう、途方もない陶酔感。この南港渡り~天保山大橋のVターンは、昼と夜・2バージョン演じられますから、とくと見比べてください。
東京と大阪は、新型コロナをめぐる国の方針に対し、正反対の姿勢を示しましたね。政府に緊急事態宣言延長を自ら要求しステイホーム一点張りの東京都、解除基準を示した大阪府。都市空撮映像で頭を冷やしたあなたには、どちらが正しいかは明白ですね。
新種とはいえ風邪は風邪ですから、封じ込めなんてはじめから不可能でした。ウイルスと長く付き合うには、経済活動を高めねばなりません。経済こそが都市のエネルギーと美の源であることを、空撮映像は雄弁に教えてくれます[4]。
都市の音と光のかなりの割合が風俗営業。パチンコ店を最初に叩いた大阪府が規制解除に動けば、マスコミも街の喧騒の大切さを思い出し、報道姿勢を改めるでしょう。
行政の「要請」「指示」に抵抗したパチンコ店は、間違ったウイルス対策[5]への科学的・経済的異議申し立ての先頭に(おそらく無自覚ながら)立っていたのです[6]。
[1] 2020年度は新型コロナ禍のため中止。
[2] https://www.nikkei-r.co.jp/service/lifestyle/census/ranking.html 測定商業施設リストはこちら https://www.nikkei-r.co.jp/files/user/pdf/service/census/census-list_shutoken_201903.pdf
[3] 『virtual trip』のコメンタリー音声で泉麻人、山田五郎も、「池袋に行ってくれませんね~」とぼやいている。池袋にあったトヨタのショールームは、2013年にお台場のパレットタウン内MEGAWEBに統合された。
[4] 都市空撮映像discは本文で紹介したような傑作ばかりではないので要注意。とくに『TOKYO NIGHT CRUISING~東京夜景空撮~』(Happinet)はカメラワークも音楽もガタガタで、フラストレーションが溜まる。
[5] 環境条件の違いを考えずに欧米を模倣するのは、LGBT支援活動と同じ症状である。
[6] 〈惰性的な無自覚状態〉と〈最前衛のイデオロギー〉が外見上一致する実例は、https://tocana.jp/2020/04/post_149355_entry.html
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2024.10.02 20:00心霊外出自粛中に病んだ心に効果絶大! 東大教授が癒し威力を保証する「都市空撮映像」を熱弁!のページです。空撮、新型コロナウイルス、COVID-19、都市空撮などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで