ゴッホはなぜ耳を切り取ったのか?耳切り事件の真相とゴッホのBL的ヤバさを追究した映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』がエグ美しい!

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© Walk Home Productions LLC 2018


 フィンセント・ファン・ゴッホが亡くなるまでの2年あまりが描かれた映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』のDVDが6月3日(水)にリリースされた。<ひまわり>や<アイリス>など、世界で誰もが知る名作を残した超・天才画家であり、生前評価されずに自らの耳を切った狂人としても知られているゴッホ。

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『永遠の門 ゴッホの見た未来』(松竹)

 果たして彼はいかほどの狂人だったのか、本作では“ゴッホの主観”を軸に、極めて真面目に美しく、彼の狂いぶりを描いているから恐ろしい。

 ひとつ言っておこう。ネットでは『永遠の門 ゴッホの見た未来』に関して内容・映像・演技ともに高い評価が並んでいるが、この映画はそこいらのドラッグムービーもびっくりのキメキメ映画で、決して高尚なだけで終わる作品ではない。多くの芸術家は、天才になるために薬物を摂取するが、ゴッホは自力でキマッていた、だから超天才だったということがわかる映画なのだ。

 作中に興味深いゴッホの狂い(天才)ぶりがわかるセリフがある。

<誰にも見えないものが見えて恐ろしい>
<僕が見ているものを人に見せて、分かち合いたい>
<(僕が見ているものは)世界の現実に近い>
<僕の周りには危険な霊がいる 存在を感じるんだ>
<霊が戻ってくる>
<目に見えないものに心を止めよ>

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 このゴッホが生きる現実をなんとか映し出そうと頑張ったのが本作だ。気持ち悪くなるほどに揺れまくる映像、中年男女の超接写映像、心象風景なのか現実なのか区別がつかないシーンの連続で「これが天才の頭の中か…やけに疲れるな」と疑似体験できる。この疲れがなんとも心地よく、次はどんな映像がくるのだろう…と見入ってしまう不思議な魅力が本作にはある。

●なぜ耳を切ったのか

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 また、ゴッホ最大の謎でもある「耳切事件」と「死」の真相にも迫る。なぜ、彼はカミソリで耳を切ったのか。そこには、自分の絵を認めてくれた友人ゴーギャンとの「BLすぎる」関係が潜んでいることが描かれる。愛するゴーギャンに去られた悲しみ、引き留めたい一心で切った耳。その耳をゴーギャンに送ろうとする狂気、そして精神病院へ…これまで語られなかったゴッホのメンヘラすぎる一面が、これでもかというほど描かれ、あまりにも純粋で孤独な彼の姿に胸を打たれる。

 作中にこんなセリフが出てくる。

<苦しむ人の横に天使がいる>
<病気が癒しを与えることもある>

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 ゴッホは“醜い世界”の中にこそ、本物の「生」と「光」が存在していることを直感していたのだが、自らの耳を切り落とすというゴッホの“醜い”行為は、我々見ている者の忘れてしまったピュアな心を思い出させる、残酷なほど美しいシーンとなっている。そして、作品は最大の謎である「死」の真相へ……。

 世界のすべてが歪んで醜く、現実と超現実が複雑に交じり合い、まるでゴッホが描いた<うねりの曲線>のような空間の中でたまに差しこむ美しい光が印象的な本作。天才ゴッホの“疲れる日常”が追体験できる本作は、単なる伝記映画を超え、危険なレベルにまで天才の脳に迫った傑作といえるだろう。

●国立西洋美術館に行く前に観るとよし!

(編集終了)ゴッホはなぜ耳を切り取ったのか?耳切り事件の真相とゴッホのBL的ヤバさを追究した映画『永遠の門』がエグ美しい!の画像6 また、6月18(木)~10/18(日)に「国立西洋美術館」で開催されるロンドン・ナショナル・ギャラリー展にはあの名作「ひまわり」が意外にも“初来日”し、展示される。ぜひ、DVD鑑賞の上、作品に触れてみてほしい。背景にあるゴッホの深淵に触れることができるだろう。(※大阪は11/3(火・祝)~2021/1/31(日) @国立国際美術館)



★『永遠の門 ゴッホがみた未来』DVDはこちら

★『永遠の門 ゴッホがみた未来』公式サイト


●DVD内容
『永遠の門 ゴッホの見た未来』
 魔法のようなタッチで、見慣れた<ひまわり>や<アイリス>、当たり前にそこにある<星>や<月>が不思議な魅力を放ち、観る者に陶酔感をもたらす画家フィンセント=ファン・ゴッホ。その死には、130年の時を経た今なお幾つもの説が混在し、美術史上最大の謎とされている。そんなゴッホの死の謎に迫ったのが、自身も画家であり、代表作『潜水服は蝶の夢を見る』でアカデミー賞4部門にノミネートされ、カンヌ国際映画祭とゴールデン・グローブ賞の監督賞を獲得した映画監督ジュリアン・シュナーベル。また、脚本は、アカデミー賞名誉賞を授与された、『存在の耐えられない軽さ』などで高名なジャン=クロード・カリエール。ゴッホの謎の死に、一つの答えを提示する。

監督・共同脚本:ジュリアン・シュナーベル( 『潜水服は蝶の夢を見る』『バスキア』)
出演: ウィレム・デフォー、ルパート・フレンド、マッツ・ミケルセン、オスカー・アイザック、マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ
初売元:ギャガ 販売元:松竹 提供:ギャガ、松竹

TOCANA編集部

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