「本当の死のタイミング」新たな定義が登場! 世界脳死プロジェクトが提言する“死”の内容とは?
医学的な死は「死の3徴候(瞳孔反応停止、呼吸停止、心停止)」として定義されているが、実体として世界中の医師の間では、死が訪れる瞬間についてコンセンサスが取れていないという。
科学ニュース「Science Alert」(8月14日付)によると、この度、人間の死亡に関するコンセンサスを得ることを目的としたプロジェクト「世界脳死プロジェクト」が、死を認定するための最小限の臨床基準についての提言を発表したという。
・When Is Someone Really, Truly Dead? The World Brain Death Project Seeks a New Answer(Science Alert)
「これは重要で複雑なテーマです。これほど多くの組織でこのようなコンセンサスが得られたのは初めてのことです。この論文と17の補足資料は、事実上の教科書のようなもので、診断ミスを最小限に抑え、信頼関係を築くための基礎となることを期待しています」
そう語るのは南カリフォルニア大学医学部長のジーン・ソン博士だ。この提言は、死の簡潔な定義ではなく、多様な背景を持つ医療コミュニティが明確な合意形成の道筋を見つけるための方法を提供するものだという。フローチャート、チェックリスト、意思決定ツリーを組み合わせて、患者を組成することができるかを判断するための観察事項を分類しているそうだ。
具体的には、顔面反応の有無、瞳孔停止、嚥下反射の有無、血液の酸性濃度低下時の自立呼吸の有無などの確認、また脳死の真偽を確定するための条件のチェックなどもある。また、幼い脳が大人の脳よりも回復する可能性が高いことから、子供には2度の神経学的検査をするべきだというアドバイスもあるとのことだ。
死亡宣告の誤診は現在も頻繁に起こっていると言い、より良い死亡判定基準は常に求められているという。死の定義が今以上に曖昧だった昔は、ほぼ脈と呼吸の有無で決定され、医師にとって死亡宣告は一種の賭けだったそうだ。公式には68年に「脳死のハーバード基準」が定められたが、その後もさまざまな脳死基準が作られているという。
真言宗の開祖・空海は著書『秘蔵宝鑰』に、「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く 死に死に死に死んで死の終わりに冥し」と記したが、現代医学をもってしても死を定義することはおろか、生命の神秘の解明にはほど遠いようだ。ソン博士の提言をもとに、死が少しずつ医学的に解き明かされていくことに期待したい。
参考:「Science Alert」、ほか
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