「縁切りスポット」巡りで見つけた“本当に怖いエピソード”! 呪い、恨み、イジメ、離婚…村田らむが取材!
――B級スポット、樹海や禁断の土地、ホームレス取材を得意とするルポライター村田らむが寄稿!
京都の縁切りスポットへ足を運ぶことにした。
現在はSNSやらマッチングアプリやら、出会いのツールは増えた。友達も恋人も昔に比べ作りやすくなっただろう。
だが、別れるための手段はあまり発達していない。むしろインターネットを介して足跡が終えるから、姿をくらますのが難しくなった。読者の皆さんにも、
「元恋人がストーカー化してしまった」
「SNSでずっと粘着してくるヤツがいる」
なんて悩みで頭を抱えている人もいるだろう。スパッと縁を切れたら、気持ちがいいのに……とウジウジ考えている人達に愛されるスポットだ。
8月某日、猛烈に暑い夏の京都を歩いていく。京都駅付近のホテルから歩いて25分くらいの場所なのだが、だくだくと汗が流れる。烏丸通りを北上し、マンションや一軒家が並ぶ細い路地に入る。
近くに来ているはずなのに、なかなか見つからない。太陽にジリジリと脳天を焼かれ、倒れそうになってくる。
どこか一旦、涼める場所はないかな? とキョロキョロとあたりを見ると、商店と工務店の間に門があるのを見つけた。
そこには石碑が建っていて
『謡曲傳示 鐵輪跡』
と書いてあった。
「おおココだ!!」
と思わず声が出る。
ここは『鉄輪ノ井』という名前の縁切りスポットだ。
これは普通に歩いていたら、気づけない。気づいたってちょっと入りづらいくらいなのだが『鐵輪ノ井戸 入口』と貼紙が出ているので大丈夫だろう。
引き戸をガラガラと開けて中に入った。
『鉄輪』と書いて、かなわ と読む。今の言葉で言うと五徳だ。五徳とは、火の上に鍋や瓶を載せるための、足つきの鉄の台だ。丸い輪から3~4本の足が出ている。熱源と調理器具の間に空間を作る、料理にはなくてはならない道具だが、呪いのアイテムとしても使われる。
能に『鉄輪』という話がある。
ある女が、自分を捨てて新しい妻を娶った夫を恨んで、毎晩貴船明神に丑の刻まいりに出かけた。神人がその女性に夢で見たお告げを聞かせる。
「赤い着物を着て、顔に朱を塗って、頭に鉄輪をかぶり、鉄輪の足にろうそくをつければ、鬼になって恨みが果たせるだろう」
と伝えると、女は生きたまま鬼になった。
結局、陰陽師安倍晴明が登場し、女は元夫を殺せず祈り伏せられてしまうのだが、嫉妬と恨みの権化になった女性が、怖くまたかわいそうな話である。
謡曲はもちろん作り話の部分が多いが、モデルになった実話があったと言い伝えられている。
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