もうすぐ男は絶滅か…「Y染色体」がマジ減少中と判明! 性別決定遺伝子を失った人間に起こる“トンデモない変化”も!

 ウィルソン氏によれば、時間の経過とともに遺伝子は突然変異を起こすのだが、染色体は相互に再結合することにより、これらの突然変異を回避することができるという。しかし、現在のY染色体はX染色体に再結合できるほどの類似性がないため突然変異を回避することができない。したがって、もし劣化した場合は劣化したままになってしまうのだ。

「悪い突然変異が発生した場合、通常は対となっているパートナーから“コピー”して入れ換えることができます。しかしY染色体はそれを行うことができません。したがって、Y染色体は有害な突然変異を蓄積しました。時間とともに、Yがどんどん小さくなるまで、それらの突然変異は自然淘汰によって取り除かれました」(メリッサ・ウィルソン氏)

 Y染色体が貧弱になったのは、突然変異した遺伝子が交換されずに自然淘汰されたことによるという。

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画像は「Pixabay」より

■ヒトがY染色体を失う日

 一方で豪ラトローブ大学の遺伝学者、ジェニファー・グレイブス氏は、動物は性染色体を必要としないことを指摘している。我々の染色体はすべて性関連遺伝子と非性関連遺伝子の混合物であり、Y染色体の唯一の特別な特徴は、精巣の発達のオン/オフスイッチとして機能する1つのSRY遺伝子のみであると指摘している。

 ワニとカメの場合、オン/オフスイッチは必要なく、胚が発達する際の温度によって性別が決まる。グレイブス氏は我々の哺乳類の祖先はこの特徴を共有している可能性が高いことを2006年に科学誌「Cell」で発表したレビューで報告している。哺乳類は長らく性染色体を必要としていなかったのだが、ある時点で突然、Y染色体にSRY遺伝子が備わったということだ。

 グレイブス氏の研究では1億6600万年前、Y染色体には1669個の遺伝子があったことが示唆され、それはX染色体と同じであったという。

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