もうすぐ男は絶滅か…「Y染色体」がマジ減少中と判明! 性別決定遺伝子を失った人間に起こる“トンデモない変化”も!

「したがって、損失率が均一である場合(100万年あたり10遺伝子)、残りが45しかない場合、Y染色体全体が450万年後に消えることを理解するのに特別な頭脳は必要ありません」(ジェニファー・グレイブス氏)

 450万年後にY染色体が消滅する可能性が導き出されたのだが、2012年の研究では劣化の速度が時間とともに遅くなっていることが報告されている。それまでは100万年ごとに10個の遺伝子がY染色体から失われていたのだが、2500万年前のアカゲザルとの分岐以来、ヒトのY染色体は1つしか遺伝子を失っていないということだ。

もうすぐ男は絶滅か…「Y染色体」がマジ減少中と判明! 性別決定遺伝子を失った人間に起こるトンデモない変化も!の画像3
画像は「Pixabay」より

 そしてグレイブス氏はY染色体の遺伝子の喪失は他の種でも起こっていると指摘している。モグラレミング属の2種は、Y染色を完全に失ってしまったのだが問題なく生存している。こうした例からもY染色体の損失は種の生存を脅かすものではないという。

 実際、男性と女性で異なって発現する遺伝子の95%は、実際にはX染色体とY染色体に関わってはいないことを前出のウィルソン氏は指摘している。たとえば女性の成長と性的発達に不可欠なエストロゲン受容体をコードする遺伝子であるESR1は、6番染色体にあるのだ。

 Y染色体を失うことは男性を失うことを意味せず、Y染色体の喪失はおそらく別の遺伝子が性の主な決定要因としての仕事を引き継ぐことを意味するであろうとグレイブス氏は説明している。Y染色体に代わって良い仕事をする遺伝子は山ほどあるというのだ。

 確かにヒトがY染色体を失う日がいつかやって来るかもしれないのだが、それは恐れるべきことではなく、やって来るにしてもはるか遠い先のことのようである。

参考:「Live Science」、ほか


文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

仲田しんじの記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

danger
イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

※こちらは2020年の記事の再掲です。 ――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・...

2024.02.27 08:00奇妙
青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ/後編】  ※本記事は2...

2024.02.07 08:00科学
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

本記事は2015年に掲載された記事の再掲です。 【ヘルドクター・クラレの毒薬の...

2024.02.06 08:00科学
九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

※本記事は2018年の記事の再掲です。 【日本奇習紀行シリーズ】 九州地方 ...

2023.12.30 08:00奇妙
龍のパワーを秘めた文字、「左回り」のエネルギーを得られる輪…今最強の波動グッズ3選

龍のパワーを秘めた文字、「左回り」のエネルギーを得られる輪…今最強の波動グッズ3選

不思議ジャーナリスト・広瀬学が渋谷クロスFMのラジオ番組のレギュラー出演者にな...

2024.03.19 16:30スピリチュアル

もうすぐ男は絶滅か…「Y染色体」がマジ減少中と判明! 性別決定遺伝子を失った人間に起こる“トンデモない変化”も!のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル