“着てるだけで警察が寄ってくる”職質ホイホイ服ブランド「ガルフィー」がヤバカッコイイ! 新作発表会に村田らむが潜入!

――B級スポット、樹海や禁断の土地、ホームレス取材を得意とするルポライター村田らむが寄稿!

 アパレルメーカーに務めている知り合いが、転職すると聞いた。新しい勤め先もアパレルメーカーだという。まあさほど興味はなかったけれど、「どこに転職したんですか~?」とベッドで寝っ転がったまま返信すると、

「ガルフィーです」

 と返ってきた。

 ガバっと起きて、

「ガルフィー? あのガルフィー?」

 と慌てて聞く。

『ガルフィー』と言えば、着ているだけで善人は避けていき、警察官が寄ってくるでお馴染みの『着るタトゥー』『職質ホイホイ』の異名を持つ凶悪な服メーカーである。

 僕が東京に来た四半世紀前頃は、歌舞伎町は今よりかなり柄の悪い街だった。

 風俗店の看板の写真を撮ってたら、

「何撮ってんだコラ!!」

 とヤクザ丸出しのヤクザが怒声を吐きながら飛んできたし、10メートル歩くたびに

「本番やって5000円ポッキリの店あるよ」

 と歯が半分くらいしかなくて白目の黄色いオッサンがポン引きしてきた。

 適当にバーに入ったらボッタクられるのは当たり前。ただのボッタクリはまだ良心的なもんで、下手をすると睡眠薬を飲まされて財布を抜かれて路上に転がされ、そのまま凍死してしまうなんて事件もよくあった。

 そんな阿修羅道を体現したような街にあるアパレルショップは、やっぱりメチャクチャ柄が悪かった。絶対にヤクザしか着ないような、悪い服がズラーっと並んでいた。

 その中でも目を引いたのがガルフィーである。「骨をくわえた犬」がキャラクターなのだが、これがなんとも柄が悪い感じになる。キャラクター自体はかわいいのに、すごく柄が悪くなるというのが楽しい。

 似たような例だと、本来はかわいい子供服メーカーのミキハウスをヤンキーが着てえらい柄が悪く見えるというのがあげられる。

 当時は、歌舞伎町の柄の悪い店からは

「興味本位で入ってくるな!!」

 というオーラが出ていたので、入店せず服を買うこともなかった。

 そして時は経ち、石原都知事の時代の歌舞伎町浄化作戦を経て、歌舞伎町はドンドン健常化されていった。

 そして、ヤクザ自体の数も減ったし、ヤクザファッションを着るヤクザも激減した。結局、柄の悪い服ばかり置いている服屋さんも消滅してしまった。

 そうなってくると

「ああんガルフィー買っておけばよかった。着たいよう!!」

 となってしまう。

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