世界から注目を浴びる「ラブドール秘宝館ブレードランナー祭」に潜入! イカれたオッサンの生き様を体感せよ…冬季展示情報も!

 ラブドールをメインとする人形愛好家であり、写真家でもある兵頭喜貴さん(46)が、2019年11 月から3カ月にわたって開催した『八潮秘宝館 第7回一般公開 ブレードランナー祭』は、これまで見た展示の中でも最高レベルのものだった。

 何よりも際立っていたのは、その“本気度”だ。ラブドールにさまざまな衣装を着させるのはもちろんのこと、赤、青、ピンクのLEDによる巧みなライティングが館内を彩り、また細かい部分の装飾にもこだわりがみられ、昨年日本から撤退したファッションチェーン「フォーエバー21」のアクセサリーを使ったコーディネートは見事だった。

 筆者はこれまでに何度も「八潮秘宝館」(埼玉県八潮市)を訪れているが。行く度にスケールアップする展示内容に驚かされてきた。そして、今回の展示もラブドールに多種多様な役割を与えた素晴らしいものだった。メインフロアである2階部分には、オリエント工業や中国製のラブドールが並べられており、ひとつの物語を形成していた。

 ところでなぜ『ブレードランナー祭』なのか? ご存じのように『ブレードランナー』は、1982年に米国で公開されたSF・サイバーパンク映画だ。原作は、フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』である。その理由を兵頭さんが明かしてくれた。

 

「この映画の舞台設定は2019年 11月なんです。まさにその時代にいる現実世界のわれわれにも映画の世界にどっぷり浸っていただきたいと思って、何年も前から準備してきました。(本館の)2階部分は、技師セバスチャンの住んでいたアパートの部屋という設定になっています。彼は、レプリカントを作っていた生体エンジニアで、その自宅は人形だらけなんですね。いつかあんな部屋に住んでみたいと思っていたんです。幾つかの人形の衣装は、映画の登場人物をモチーフにしています。セバスチャンは、勤めていたタイレル社の社長とチェスをやっていたので、その様子も再現してみました。ライトで光る傘は、映画に何度も出てきますが、実際に2019年に防犯グッズとして発売されていて驚きました」

 兵頭さんの表情は、イキイキとしていた。こんなに嬉しそうにしている顔を見るのは、初めてかもしれない。話はまだまだ続く。

「お客さんからは、『もうセバスチャンの部屋を超えていますね!』という意見もいただきました。2019年の11月にセバスチャンの部屋に住むのが夢だったので本当に嬉しいです。きっと彼が現代の日本人だったら、こんな部屋に住んでいたんじゃないでしょうか。お陰さまで『ブレードランナー』の世界観は、達成できたと思います。今回の『ブレードランナー祭』は、長年の集大成なんですよ」

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