まるでチンチンを見せつけている変態!? 名古屋の「桃太郎神社」を村田らむが取材!
右に進むと、一番楽しみにしている宝物館なのだが早く来たので、まだ開館していなかった。
左は本殿で、祝詞が聞こえてくる。祝詞を聞いたところで
「あ、本当に本物の神社なんだなあ……」
と知った。
神社の前には、桃形の鳥居があるのだが、ピンク色でぬらっとした形でなんだかやや怖い。諸星大二郎タッチである。鳥居には
『桃形鳥居をくぐれば
悪は去る(サル)
病は居ぬ(イヌ)
禍は来じ(キジ)』
とダジャレ的なことが書いてあった。
そして実際サルイヌキジがいた。イヌはなんか物乞いをするようなポーズで、なんだかせつない。きびだんごなんてイヌがあんまり喜んで食わなそうなものもらったからって、命をかけて戦うことはないと思う。
本殿の入り口にはズラーッと絵馬が並んでいた。
「元気な赤ちゃんが今年中に授かれますように」
「妻との間に丈夫で健康な子を授かりますように」
「2カ月後元気に産まれてきてくれますように。安産でありますように」
といった、子供がらみの祈願が90%以上だった。桃太郎神社なら、それは当たり前だろう。ほっこりした気持ちで見ていたら、
「●●がまたこの世に生を授けられますように。そしてまた私のお腹に戻ってくれますように。」
という絵馬を見つけて、ズーンと気が重くなった。
少ないが子関連以外の願いもあった。
「町内会の役員になりませんように」
夫婦連名で祈っていた。
これ、桃太郎様にお願いするこっちゃない気がするよ。
などと絵馬を眺めていたら、祝詞が終わり、神主さんが出てきた。
「拝観料を入れたら、入ってもらっていいですよ」
と言われる。ゆるいシステムだった。大人200円を木箱の中に入れて宝物館に入る。
課金エリアも、たくさんの像が置かれていた。泣き崩れる青鬼、勝ち誇るイヌサルキジ。その横でジイさんバアさんが喜んで餅をついている。
そして進むと、肌色の鬼が四つん這いでいた。ニタアと笑っている。首からぶら下げられた札には
『やさしい鬼です
背中へどうぞ』
と書いてある。
実際子供が乗れるようだが、どう見てもドMなド変態で乗せたくないだろ、と思う。五反田あたりにこんなオッサンいそうだ。
個人的には『優しい鬼』というのが嫌いである。『泣いた赤おに』は小さい頃からどうも嫌いだった。人間なんかに迎合するなよ、と思ってしまう。
鬼は残酷たれ、と思ってる人には、筒井康隆の『バブリング創世記』に収録されている『死にかた』がおすすめである。オフィスに突然乱入してきた赤鬼に、社員10人がただただ残酷に殺されるだけの短編である。
話がめっちゃくちゃそれたが、その先にもまだまだ像はあった。
一番奥には、倒れて命乞いする鬼に、きびだんごを差し出す桃太郎の像である。例のふてぶてしい顔である。どういう感情できびだんごを差し出しているのか、ちょっと怖くなる。
そして鬼の後ろには時系列が進み、鬼から巻き上げた金銀財宝を荷車に積んで運び去る一行の像が見える。
なんだか映画『TENET テネット』の時系列がぐちゃぐちゃっとなった感覚が少しよぎった。
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2024.10.02 20:00心霊まるでチンチンを見せつけている変態!? 名古屋の「桃太郎神社」を村田らむが取材!のページです。愛知県、桃太郎神社などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで