運用終了直前の185系特急「踊り子」号を取材! 鉄オタが咽び泣く“令和の昭和旅”を味わえる奇跡がついに終焉へ!

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185系特急「踊り子」号

 3月13日に行われたJR春のダイヤ改正を目前に控え、185系特急「踊り子」号などが注目を集めた。185系の定期運用終了が12日に迫る中、連日、鉄道ファンや乗り鉄の人たちが「乗り鉄」を楽しんでいた。

 数多くのファンが押し寄せたのは、特急「踊り子」号や新宿発小田原行きの「ホームライナー小田原」など。この編成には、「旧・国鉄時代のグリーン車」が連結されている。とりわけグリーン車に関しては、特急「踊り子」号が走り始めた頃から、ほとんど改良されていない。これは奇跡的なことで、令和の時代に“昭和の旅”を満喫できる。

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「ここ一月くらい仕事そっちのけで、乗りまくっています。(魔改造された車両を除いて)国鉄時代の特急グリーン車に乗ることができるのは、これが最後なんです。この車両、ほぼ原型を保っているんですよ。改良されたのは、トイレの便器や洗面台の一部くらいです。原型を留めないほど魔改造されてしまった車両はいくつもある中で、こんな車両が残されているのは、“令和の奇跡”です。東京駅や新宿駅に乗り入れているというのもまたスゴイことです」(都内在住会社員男性)

「185系は車両に鉄が使われているので、鉄橋を渡るときの音が最高なんですよ。『ガガン、ガガン、ガガン……』と、体に響くんです。また、カーブで車輪とレールが擦れて、『キィィィィィーーン』と鳴るのもタマリません。ステンレス製の車両ではこうはいかないです。『ホームライナー小田原』は、本線を外れて貨物線を走るので、高速運転を楽しむこともできます。モーター音の響きを体感するのであれば、これですね。いつもビールやつまみを持ち込んで最後の汽車旅を味わっていますよ。最後の最後まで昭和を体感したいですね!」(都内在住30代男性)

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 185系は、特急・急行列車から通勤・通学時の普通列車まで幅広い用途に使用できる設計思想を盛り込んで造られた車両だ。とりわけ首都圏に住んでいる会社員や観光客には馴染み深い。

 茶色がかったシートが使われているグリーン車の座席は、マニア心を揺さぶる。厚みもあってフカフカなのだ。シートにはフットステップがつき、背もたれもかなりの角度でインクラインにできる。また、窓も半分までではなく、全開できるのは今となっては驚きかもしれない。トイレ使用中の電光板も昔からのものだ。今は使われていないが、車販準備室も残されていて、スタッフの待機スペースもそのままだ。

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 1981年3月から営業運転が開始された185系にもついに幕が下りた。鉄道ファンならずとも、特急「踊り子」号や「ホームライナー小田原」などに乗って、「旧・国鉄時代の列車旅」を味わえた人は幸運だ。

文=酒井透

写真週刊誌「FOCUS」(新潮社/休刊中)編集部カメラマンを経て、現在、秘境・不思議スポット探検家/写真家として活動中。「FOCUS」時代には、逮捕直後の宮崎勤をスクープする。国内はもとより、これまでに50カ国あまりで取材活動を行っている。著書に『中国B級スポットおもしろ大全』(新潮社)、『未来世紀 軍艦島』(ミリオン出版)などがある。最新刊は、『軍艦島 池島 長崎世界遺産の旅』(筑摩書房/共著)。
Twitter:@toru_sakai

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