地球温暖化時代を生き残るのは日本人だった! 我々がもつチート級の熱中症耐性、「バターン死の行進」真相も…天才・亜留間次郎が解説

■弱い国

ナポレオンのロシア侵攻の兵と気温。元の気温表記がレオミュール度なので著者が赤字で摂氏の数字を補足。画像は「Wikipedia」より引用

 日本人とは逆に熱中症に弱い民族がフランス人です。2003年の熱波でフランスでは14,800人以上が死亡しています。この時のフランスの死者数は人口比でいえば日本の60倍です。その後、大規模な対策が取られましたが、その後のも熱波がくるたびに年間1000人以上が死んでいます。

 人種、民族的にフランス人は熱中症に弱いみたいで、大昔のナポレオン戦争でも多くのフランス軍兵士が行軍中に熱中症で大量に死亡しています。戦場が西欧諸国だった時は無敵のフランス軍も、エジプトやロシアに進軍すると熱中症で莫大な損害を出しています。

 ロシアといえば寒いイメージですが、ナポレオンが侵攻を始めた6月から8月はロシア人も熱中症で倒れるほど暑くなる時期で、ナポレオン軍が熱中症で大損害をこうむったスモレンクスのあたりの6~7月の日の出時刻は4時過ぎぐらいで日没は21時過ぎです。17時間も夏の昼間が続いて、12時から14時ぐらいが最高気温になり、当時の記録では最高気温が37.5度になっています。

 シャルル・ジョセフ・ミナードという学者がナポレオンのロシア遠征でフランス軍の損害と気温の関係を調べた研究があるのですが、6月後半から8月にかけての暑さで、42万人のうち10万人規模の死者を出しています。

 赤痢によって下痢で水分を失った体は熱中症と合併症になると確実に死にます。こうなると、死因が赤痢なのか熱中症なのかよくわかりませんが、ほとんどが気温が高い夏場に死んで涼しくなると急速に減っています。さらにトラホームによって失明する兵士の続出など、何重にも病気が襲ってきたことでナポレオン軍は夏場に大損害を出しています。

 ロシアには熱中症の妖怪ポルドーニツァというものがいるのですが、高緯度のロシアの夏は日照時間が長く、ロシア人も夏場は熱中症で倒れるために、「ポルドーニツァに首を狩られる」と言って正午は外に出ません。このためロシア語ではポルドーニツァは妖怪の名前であると同時に正午という意味もあります。ポルドーニツァの存在を知らなかったフランス軍は日中も休まずに歩き続け、ナポレオンの兵士はポルドーニツァに首を狩られていったのです。

 同じ時期にロシア軍は平気だったのかというと、さすが地元民だけあってフランス軍ほど大規模な熱中症患者は出していないようです。熱中症でボロボロになったナポレオン軍は、冬将軍が来た時にはすでに15万人以下にまで減っていました。冬将軍はとどめを刺しに来ただけかもしれません。ナポレオンはロシアの冬将軍の前に、すでに夏将軍によって大損害を被っていました。

 もしも、フランス人が日本人のように熱中症に強かったら、ナポレオンはロシアに勝っていたかもしれません。フランス軍は第二次世界大戦後のインドシナ戦争でも熱中症患者を大量に出しています、フランス人は基本的に熱帯で活動できないようです。

 国際結婚される方は、パートナーの熱中症耐性が自分と同じだと思わないようにご注意ください。

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