【必読】ゴミ屋敷で孤独死した漫画家の遺作『生ポのポエムさん』に震える! 生々しいフリーランスの現実と最期のメッセージとは!?
テーマは「自身の生き様」で行くことになった。
そう言うとかっこいいが、原作付や体験ルポが多く、久しくオリジナル作品を描いていなかった吠夢氏にとっては、それ以外に選択肢がなかったのだ。
60歳を目前にひかえた、ナマポ漫画家の「生活保護を受けながら再起を目指す等身大の実録漫画」への挑戦が始まった。
ただ吠夢氏はデジタルにはとことん疎かった。コンピューター、スキャナーなど必須の道具も持っていなかった。そしてそれをそろえる金銭的余裕もない。自力で挑戦することは不可能だった。
「勧めた手前もありますし、何より吠夢先生の熱意にほだされて協力することにしました。デジタルに疎かった吠夢先生ですが、ガラケーからスマホに新調し、FacebookやLINE、Twitterのアカウントも取りました。必要なら僕の事務所の機材も使ってくださいねと伝えたんです。『note』でいきなり収益を上げるのは難しいでしょうから、僕のほうでも出版社と交渉して、連載が4話分たまった時点で電子書籍として配信する内諾を得ました」
そして、2018年の年明けにTさんの元に吠夢氏から「原稿上がりました!!」との一報が来た。吠夢氏は正月の間、ずっと原稿を描いていたという。
「さっそく原稿を見せてもらって、次回以降の打ち合わせもしましょうという話になりました。吠夢先生はやる気にあふれていましたね」
しかし打ち合わせ予定日当日、T氏の事務所に吠夢氏は現れなかった。なかなか連絡が取れず、1時間ほどしてようやく自宅の電話につながった。電話口の吠夢氏はなぜか泥酔した様子だった。呂律の回らない口調で「ごめんなさい。ごめんなさい」 とひたすら謝る吠夢氏にT氏は当惑し、「落ち着いたらまた連絡を下さい」と言って、電話を切ったという。
「腹が立つというよりビックリしました。吠夢先生は、少なくともお酒を飲んで無責任に打ち合わせをすっぽかすような人ではありませんでしたから」
結局、それがT氏と吠夢氏の最後のやり取りになった。
それから約2週間音信不通が続き、心配になったT氏は警察署に連絡。警察官が吠夢氏の部屋を訪れると、吠夢氏はすでに冷たくなっていた。遺体は遠方に住む高齢の両親に引き取られていった。
57歳だった。
その後、警察署からTさんに連絡が入った。
「アパートの大家さんが僕が以前送っていた安否を気遣うFAXを見たとのことで、故人の部屋を見てあげてくださいと言われたんです。葬儀も実家で密葬で僕は参列していませんでしたから、吠夢先生宅で手を合わせようと思いました。もちろん心血を注いだ最後の原稿を一目見たいという気持ちもありました。それで、別の元担当編集者と2人で、吠夢先生宅へ向かったんです」
吠夢氏の部屋は、想像を絶する状態だった。もともと、男ひとり暮らしの万年床。散乱して足の踏み場もなかった上に、すでに行政が業者に依頼していて、ゴミ袋の山が築かれている。それぞれの袋には衣服や仕事の資料とおぼしき本、過去の作品の掲載誌などが無造作に詰め込まれていた。
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2024.10.02 20:00心霊【必読】ゴミ屋敷で孤独死した漫画家の遺作『生ポのポエムさん』に震える! 生々しいフリーランスの現実と最期のメッセージとは!?のページです。孤独死、ゴミ屋敷、漫画家、吠夢、生ポのポエムさん、生活保護、遺作などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで