生活保護受給漫画の衝撃の中身とは?

【必読】ゴミ屋敷で孤独死した漫画家の遺作『生ポのポエムさん』に震える! 生々しいフリーランスの現実と最期のメッセージとは!?

 それでも、原稿はT氏にえもいわれぬ印象を残したという。

「実は原稿が上がる前に一旦ネーム(下書き)を見せてもらったんですが、ただの身辺雑記で面白くなかったんです。吠夢先生の『想い』をしっかり込めたほうがいいですよ、とアドバイスしました。実際に出来上がった原稿は、心にズシンとくるものでした。なんか鬼気迫る迫力がありましたね」

 T氏は遺稿を前に考えた。これをどうすればいいか。先述の「しのぶ会」の参加者には、「世に出したほうがいい」と言う人もいた。でも出版社との約束では4話完成時点の配信だった。1話ではあまりに短い。

「とりあえず原稿を出版社の編集者に読んでもらいました。確かに物語のプロローグでしかないし、ページ数もたった20ページしかありません。でも、出版社の方もこの原稿を読んで、生きざまを感じ取ったようです。吠夢先生のご両親の承諾も得て、電子書籍として配信されることになりました。ページの足りない部分は『ネタ帳ノート』から抜粋しました。本当だったらこの『ネタ帳』のネタを元に連載は続いていたんだと思います」

 こうして吠夢氏の遺作『生ポのポエムさん』が電子書籍で配信された。

 この作品は、生涯売れなかった漫画家が、練馬のゴミ屋敷の中でコツコツと描いた作品だ。そして吠夢氏はこの作品を描きあげた後に亡くなった。

 孤独な最後を向かえた吠夢氏だが、それでも一生漫画家でありつづけることができたのは幸せだったのかもしれない。フリーランスの作家や、これからフリーランスを目指す人達には一度読んでもらいたい作品だと思った。

『生ポのポエムさん』(エンペラーズコミックス)より


文=村田らむ

ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)、『樹海考』(晶文社)、『ホームレス消滅』(幻冬舎新書)など。

Twitter:@rumrumrumrum

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