トランスジェンダー選手の五輪参加がもたらす不利益と分断! 「困るのはトランス当事者」(東大教授)
生得的身体によって男女を区別しさえすれば、このような差別的扱いは解消します。しかし、IОCにそうした〈後戻り〉が許されるかどうか。レインボーの旗に支配されたスポーツ界の現状では、まず期待できませんね。
ローレル・ハバードのオリンピック出場は、他の分野での「トランス支援」の成行きと連動しています。アメリカのリベラル州は、女性更衣室、女性トイレ、女性専用スパなどで男がペニスを露出しても、店は法律上規制できないという社会になってしまいました[6]。日本のLGBT法案に「差別禁止」が盛り込まれて成立したなら、同じことが常態化し、新しい議論を呼ぶことになるでしょう。
このように、ローレル・ハバードの出場は、一見トランスジェンダー支援にみえて、実は、トランスジェンダーの印象を悪くし、俗にいう「トランスフォビア」の世論を焚きつける影響をもたらす可能性があるのです。
しかし他方では、トランスアファーマティブの勢いを増す効果があるかもしれません。どうしてでしょうか。
第一に、陸上や水泳のような花形種目でなく、重量挙げという地味な種目から扉が開かれたため、観衆の寛容度が高いということがあります。第二に、ハバードが現役をいったん退いた中年で、金メダルをとる可能性が高くないこと。女に負けたトランスジェンダーとして逆に親しまれ、トランス女性参加への抵抗を一掃するかもしれません。
しばらくの間、オリンピック女子種目に参加する生物学的男性は、ハバードのように一線を退いた40代・50代の人々がメインではないでしょうか。彼らはほどほどの成績を重ね、勝った女子選手の地位向上に貢献し、トランス支援を踏み固める。やがて20代の現役男子選手が一人二人参加し始め、まもなく大挙して押し寄せるでしょう。
これは「なりすまし」が増えるという意味ではありません。心から性自認女性と申告する男子選手が増えるという意味です。性自認が揺らぎやすい性質をもっていることは周知の事実。「勝つ」「新記録で歴史に名を残す」という強力な動機があれば、悪気なく無意識のうちに性自認が変わってしまうのは、誰にだって起こりうることなのです。動機あるゆえ芽生えてしまった新たな性自認なのか、生来の性自認なのかを識別する方法など無いし、かりに識別できたからといって性自認は性自認。他人が文句は言えません。
このように、ハバードの出場を皮切りに、自然な流れを止めるのは難しいでしょう。女子スポーツは崩壊しかねません。合法的に登録された世界記録は取り消しができないので、生物学的女子の活躍は永遠に日の目を見ない運命に置かれます。
これでどうなるのか? トランス懐疑派は「それみたことか」、トランス支援派は「こんなはずでは」……陰湿な分断が進むでしょう。そのはざまで最も迷惑を被るのは、スポーツにも政治活動にもかかわりのない、普通のトランス当事者たちではないでしょうか。
[6] https://www.youtube.com/watch?v=vNterJmIHJs カリフォルニア州やニューヨーク州など大都市部からの人口流出が新型コロナの影響で加速しているが、元来の流出の主原因は、過激なLGBTやBLM運動を嫌った住民がテキサスやアリゾナなど共和党州へ移転していることだという※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
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2024.10.02 20:00心霊トランスジェンダー選手の五輪参加がもたらす不利益と分断! 「困るのはトランス当事者」(東大教授)のページです。スポーツ、オリンピック、トランスジェンダー、性自認などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで