SNS中傷問題で浮き彫りになる「悪口の自動投稿プログラム」とは? 2千円前後で売買…

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 東京オリンピックに出場している日本選手に対し、SNSでの中傷が深刻化している。卓球混合の水谷隼、体操の橋本大輝や村上茉愛、フェンシングの太田雄貴らが被害を訴え、丸川珠代五輪相やIOCが止めるよう呼び掛ける事態にまでなっている。

 昨年、プロレスラーの木村花さんがバラエティ番組での演出が原因でネットの中傷を受けて自殺するという事件があったばかりだが、今回は世界規模で中傷メッセージが飛び交うというスケールの大きな話になっている。

 五輪前に記者会見を拒否した大坂なおみには日本でもひどい人種差別的な攻撃があったが、試合時には英語での批判も飛び、サーフィンの五十嵐カノアにはポルトガル語で、水谷には中国語でのバッシングなどのほか、翻訳ソフトを使ったらしき直訳や間違った日本語による攻撃的なメッセージもネット上で散見でき、日本の大臣やIOCが呼びかけた程度では収まらない様相となっている。

 7月下旬、警視庁は選手本人から被害届が出れば対応するとの方針 を発表しているが、中傷メッセージがすべて「名誉棄損」や「 侮辱」の刑事事件としての要件を満たし、起訴できるかといえば分からない。

「たとえば直接、相手に届けるダイレクトメッセージだと、不特定多数が見る『公然の場』ではないから名誉毀損には該当しなくなります。また、競技選手への厳しい批評という内容だと、たとえ立件しても有罪にできるかどうか」(ITセキュリティ業者)

 さらに海外発信の場合、日本の警察に捜査権が及ばず、インターポールなどを通じないと捜査ができずに立件が難しいという問題があ る。

 そんな中、中国在住の韓国人ラッパーLOVEが「自分の作った自動投稿プログラムが悪用されている」と気になる話をSNSの動画で漏らしている。

「プログラムは、もともとSNSのコメント数を大量に自動増加さ せるために作ったAPIというもの。これを使うと、登録したワー ドを組み合わせてランダムに作ったコメントを、多数の国を経由して自動投稿できる」

 つまりはSNSでニセの反響を生み出すためのプログラムだったが 、LOVEによると、ある球技で中国選手と戦った選手が「中傷を 受けた」とネット上で公開した被害の文面を見て「改行の位置など が俺の作ったプログラムで投稿したものと一致した」という。 また、被害選手から「似た文面のメッセージが多数届いた」 という話からも「自分のプログラムが悪用された」 と感じたという。

 類似プログラムを作ったネットユーザーは他にもいるようで、実際にLOVEの作ったプログラムがその中傷に使われたかは分からな いのだが、話を聞くと「俺の作ったプログラムは日本のネット上で も無断で売買されている」と言うから驚きだ。彼が示した売買のひとつはオークションサイト「ヤフオク」で、たしかにSNSの反響を自動的に作り出せるものが2千円程度で売られていた。

「本来は良いメッセージでSNS上の人気者を作るためのものだけど、登録ワードに悪口を入れると中傷メッセージを大量送信できてしまうのがこのプログラムの欠点だ。使う人によって天使も悪魔に もなるのはナイフと同じ。今後、俺のプログラムが悪用されて俺が批判が来ても困るから、先にこのことを明かしておく。プログラムは中傷するために作ったものじゃない」

 コロナ禍では世界中の人々が部屋にこもることが増えたが、そこで活用されているSNSでネットの負の側面も露になった。東京五輪のみならず日頃から中傷メッセージが止まらないのは、送信者に何もペナルティーがないからで、今後は匿名性の陰に隠れる卑劣な行為をどう取り締まるか、大きな問題となってきそうだ。

文=ジャーナリスト・片岡亮

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